かつて「料理の鉄人」という料理バトルをウリにしたバラエティ番組がありました。
毎回、定められたテーマ食材を使って挑戦者と番組認定の鉄人と呼ばれる料理人が対決するというもの。
調理中のカメラワークもバトルを意識した躍動的なもので血湧き肉躍る感じの演出がなされていました。
その番組のとある回。中華料理対決で中国の特級厨師が登場したことがありました(柔和な表情が印象的な中年の女性だったので意外な感じ)。
特級厨師は中国が調理師に与える国家資格の最高位でむちゃくちゃ難易度の高い資格です。
で、いよいよ審査。特級厨師の対戦者の皿を食べた審査員は口々に料理の感想を述べるのですがみなさん好評。
これは勝負あったかなという雰囲気が漂っていました。
そしていよいよ特級厨師の皿。その料理を口にした途端、審査員は申し合わせたように寡黙になってなにも言いません。
ただ、黙って料理を食べているだけ。
勝負の行方は──特級厨師の圧勝でした。
審査員たちは味を評するのも畏れ多いと感じたんじゃないかなと番組を見終わってから思いましたっけ。
料理の中には旨い、まずいと言う次元を遥かに超えてただ手を合わせて拝みたくなるような、ただただ食に対する感謝を表したくなるようなものが実在します。
僕は昆布締めもそのひとつだと思っています。作り方はいたって簡単。酒で湿らせた昆布で魚介や肉などの食材を挟んで3、4時間放置するだけ。
昆布から受け取った旨味の凄さを感じさせてくれる1品です。
ただ、昆布はけっこう高価な食材ですし昆布締めにするにはけっこうたっぷり使う必要があるのでちょっとハードルが高いのです。
ス-パーで安売りしていた鯛の刺し身を買ってきた時、「これ、昆布締めにしたら旨いだろうな」と思ったのですがやっぱり躊躇。
でも、鯛の昆布締めは食べてみたい。 で、作ったのがこんな料理です。
【材料】(2人分)
-調理時間:2時間-
- 鯛の刺身(さく):150g
- 昆布出汁の素:たっぷりめ
- 塩:ひとつまみ
【作り方】
- 鯛の刺身に昆布出汁の素と塩をまぶしてラップで包みます。これを冷蔵庫で2時間寝かせればできあがり。
【一口メモ】
- 自分で作っておいて言うのもなんですが口に入れるまでなめていました。ま、それっぽい味になれば御の字くらいのつもりだったのですが……手を合わせて拝みたくなるような味でした。昆布は凄い。
- 当たり前ですが、この料理は使う昆布出汁の素で味が左右されます。僕のオススメはリケンの素材力シリーズ「素材力だし こんぶだし」。5gのスティックタイプで扱いやすく、お値段も28本入りお徳用パックで500~600円とお手頃。何より化学調味料、食塩無添加で単に昆布を粉末状にしたものらしい。美味しいはずです。
- 使う食材は鯛でなくても刺し身ならなんでもOK。生牡蠣の昆布締めなんてのも美味しいですよ。