どこかの料理人さんのエッセイにフランスへ修行に行った話が書かれていました。
修行に入った店はビストロ。
レストランが日本の料亭に相当する格式ばった店とするならビストロは居酒屋的なポジションにあたる店です。
レストランでは全てが分業制で野菜の皮剥き係はずっと皮剥きのみやるのですがビストロの厨房スタッフはいわゆる何でも屋。
全員が調理から皿洗いまでなんでもやるのが一般的です。
その人が店に入って最初に指示された作業は鶏の解体だったとか。
振り返ってみるとあれは店長が彼の腕を見るためのテストだったのかもしれないと述懐していますが運よく経験があったので難なく解体。
店員一同「Oh!」と声を上げて感心したとか。
──なんてエピソードが語られるくらい料理人でも鶏の解体なんて作業を経験することは意外と少ないのかもしれません。
これが牛や豚ならなおのこと。
って、生きた牛や豚を連れてこられて「はい、解体して」とナイフを渡されても困ってしまいますが(笑)
それに比べれば魚を捌くという作業は料理人ならたいていできる気がしますし一般人でも捌ける人はたくさんいます。
なんならスーパーのバックヤードのおばちゃんなんかはプロ並みに巧いかも。
魚を捌ける人が多い理由はいろいろあると思いますがそのひとつはこの国は海に囲まれていて昔から釣りは比較的身近な食料調達手段だったこと。
そして釣ってきた魚は自分で捌かなきゃ誰も何もしてくれないという現実的なニーズから来てるんじゃないかしらと想像しています。
反面、「魚を捌くなんて絶対無理! なんなら触るのだってぜっっっっっっっったい無理まである」なんて人も一定数おります。
ウソかホントかスーパーで見かける魚の切り身がそのまま海で泳いでいると信じている人も一定数……いるのかな?w
とまれ身近な魚くらいは捌き方を知っておいて損はない──なんて思ったのでこの前買ってきたいさきのさばき方などをメモしておきます。
【材料】(1人分)
-調理時間:50分-
- いさき(15~18cmの中サイズ):2尾
- 塩:3g(小匙1/2)
【作り方】
- 包丁の背でいさきの尾から頭に向けてこすり鱗を落とします。エラ蓋を持ち上げて包丁の刃先を突っ込みエラの根元を切ります。指を突っ込んでエラを引きちぎります。 ※うろこ取りをお持ちならそれを使うと楽に鱗を落とせます。
- いさきの肛門に包丁の刃先を入れのこぎりの要領で刃を前後させながら腹を開きます。十分開いたら指を突っ込んでワタを引き抜きます。中骨のすぐ隣に血合い(赤い部分)があるので、包丁の先で軽く切り込みを入れ流水に当てて洗い落とします。
- キッチンペーパーで2.の水気をふき取りいさきをバットに並べて30cmほど上から塩を振ります(尺塩と言います)。これを冷蔵庫に入れて30分休ませます。
- キッチンペーパーでいさきからにじみ出た水分をふき取ります。 ※この水分は臭みの元となるのできっちりふき取りましょう。
- 魚焼きのグリルに盛り付ける際の裏側を下にしていさきを並べます。そのまま10分焼いてひっくり返して3分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- いさきは身がもっちりとしていてなかなか美味です。ちょっと小骨が多いですがそれを取りながら食べるのも食べる楽しみのうちということで。
- 魚捌き上達のコツは慣れだと思います。安い魚を買ってきてはせっせと捌きましょう(ちなみにこのいさきは6尾100円でした)。
- お好みで食べる時にレモン汁をかけても美味しいです。
- 魚を捌く際は文化包丁でも問題ないのですが出刃包丁があると作業はかなり楽になります。頻繁に魚を食べることがあるのなら1本持っておいても損はないと思いますよ。