太平洋戦争後、日本の食文化はがらっと変わっちゃいました。
1950年代からバブル期に至る1990年代までの40年間はそれまで誰も食べたことのない料理が生まれるラッシュになりました。
いろいろな要因が重なってのできごとでしたが特に生活に余裕が出てきたということが大きかったんじゃないかなと思います。
面白いことにちょうどその200年前。
1750年代から1790年代にかけて江戸の町で全く同じムーブメントが起きています。
外食産業が盛んになってさまざまな店が登場し、それまで子供の読みものだった草双紙が大人も楽しめる黄表紙と呼ばれる本になって飛ぶように売れたりしました。
これなんかもライトノベルの登場によく似ています。
寿司が進化を遂げたのもこの時期でそれまで発酵に何カ月もかかっていたなれずしから酢につけて数時間で食べられる早ずしが考案されました。
寿司はたちまち江戸の町のファストフードとして人気を博したのですが「寿司は旨いけど手がべたついていけねぇや」という不満があったのでしょうか。
つまんでも手が汚れない巻き寿司の登場はそんな不満を解消するひとつのアンサーだったんじゃないかな。
具材を巻く、包むという発想は何も巻き寿司の専売特許ではありません。
洋の東西を問わずにその発想はあるようで──クレープ、ピタパン、バインセオ(ベトナムのおかずを包んだクレープのような料理)などなど世界中に似た料理が散見されます。
中国の北京ダックも薄い生地にくるんで食べるのが定番ですね。
逆に言うと薄く延ばした生地を見ると人は無性に何かを巻いたり包んだりしたくなる生き物なのかもしれません(ホンマかw)。
過日、お弁当用に卵焼きを作ろうとしたのですがいつも通りにプレーンだとつまらないと考えたのです。
卵焼きを焼く工程は薄焼き卵を焼いて巻いていくという手順になります。
その時に何か一緒に具材を包んだら面白くないかしらん。
なんて考えていたらこんな料理ができました。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分-
- 卵:2個
- 塩、ブラックペッパー:少々
- サラダ油:少々
- ロースハム:1枚
- スライスチーズ:1枚
【作り方】
- 卵をボウルに割り入れ塩、ブラックペッパーを軽く振って良く溶きます。ハムとチーズは玉子焼き器の半分のサイズに収まるように切っておきます。
- 玉子焼き器にサラダ油を入れて中火にかけます。温まったら卵液の1/3を流し入れて薄焼き卵にします。手前にハムを載せて奥から卵を巻いていき巻き終えたらひっくり返して圧着し奥に移します。
- 2.に卵液の1/3を流し込みます。その際、先に焼いた卵を持ち上げて焼けた卵の下にも卵液が流れ込むようにしましょう。手前にスライスチーズを載せて1.と同じ要領で巻いてまた焼けた卵を奥に移します。
- 卵液の残りを流しいれ(先に焼けた卵を持ち上げてその下にも流しいれ)薄焼き卵を作ります。奥から卵を巻いていき巻き終えたら上から押さえて形を整えればできあがり。
【一口メモ】
- ハムやチーズの塩気と風味が加わって卵焼きが何倍も楽しくなる料理になりました。晩御飯のおかずにしても良いですがこれはやっぱりお弁当向けだな。なんか箸を伸ばすのが楽しみなる1品です。
- 薄めの具材や薄く延ばせる素材ならハム、チーズに限らずなんでもあり。明太子、大葉、カイワレ、ツナなんかを巻いても楽しそうです。但し、水気が多い素材は向かないのでツナマヨなんかはちょっと厳しいかも。
- よりきれいな形を目指すのであれば焼いてすぐにまきすで巻いてそのまま冷ましてください。