学生時代。
母がよくお弁当にりんごをマヨネーズで和えたサラダを入れてくれていました。

とても美味しいサラダだったのですがクラスメイトには「リンゴにマヨネーズは合わんやろ」と揶揄われるし僕的には正直好きな献立ではありませんでした。
ずいぶん後になってリンゴやクルミなどをマヨネーズで和えたサラダはかつてニューヨークにあったウォルドルフ・ホテル(現在のウォルドルフ・アストリア・ホテルの前身)の名物料理「ウォルドーフサラダ」であり100年以上の歴史を持つ伝統的な料理であると知りました。

僕もクラスメイト達も自分達の浅学を棚に上げて嗤ってしまっていたんだなぁと恥じ入るばかりです。
世の中には先入観に縛られた料理というものがけっこうあってその先入観から外れた皿を見かけると「なんか変」とか「あり得ない」と忌避されるなんてことが往々にして起きます。
例えば菓子パン。
あんぱん、ジャムパン、クリームパン──これらは外国から伝わった料理ではなく日本で独自に考案された料理です。

元々パン食の文化のなかった日本人だからこそ自由に「こんなものを詰めたら美味しいんじゃない」といろいろ試せたと思うのですが外国人からは「なんか変なパン」と思われてたんじゃないかな。
たい焼きも長らくあんこが詰まっているお菓子という縛りがあったのでカスタードクリーム入りが登場した当時は「ゲテモノ」と思われたかもしれませんね。
ところが今ではチョコレートやキャラメルが入っているやるやつもありますし、サンドイッチ的にお肉や野菜を挟んだ「おかずたい焼き」なんてのも売られています。

料理に対する偏見や先入観なんて実際に食べてみて美味しければあっというまに払しょくされるもんだなぁとしみじみ思います。
豚の生姜焼きと言えば豚肉を生姜の風味を利かせた醤油と砂糖の甘辛いタレに漬けこんで焼いた料理で、敢えて口に入れなくても脳内で味がイメージできるくらい僕らの舌に馴染みのあるお惣菜です。
名前に「生姜」が付いている限り生姜風味を抜くのはNGですが生姜風味を残しつつもっと別のフレーバーが楽しむという選択肢はないかしらん──なんて考えましてとある夕ご飯時にこんな料理を作ってみました。
【材料】(2~3人分)
-調理時間:10分-
- 豚ローススライス(生姜焼き用):100g
- 茄子:中サイズ1本
- 梅干し:1粒
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 片栗粉:適宜
- サラダ油:18g(大匙1.5)
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 砂糖:3g(小匙1)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 茄子はヘタを取り横半分に切って更に縦3mm厚にスライスします。豚肉は食べやすい大きさに切って塩、ブラックペッパーを軽く振り薄く片栗粉をまぶします。梅干しは種から外して細かく叩き[調味料パート]に合わせます。
- 中華鍋にサラダ油を入れて強めの中火にかけます。これに茄子を加えて油を吸わせながら軽く焼き色が付くまで炒めます。これを一旦皿に取ります。
- 2.の中華鍋に豚肉を入れて軽く焼き色が付くまで中火で焼きます。
- 3.に茄子を戻して中火にかけ[調味料パート]を加えて絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- 豚の生姜焼きに茄子をプラスしてボリュームアップ。梅肉を使ってさっぱり風味に仕上げました。中華料理などちょっと脂っこい料理と相性がめっちゃ良いです。
- 梅雨から夏にかけては特にお弁当のおかずとしてもおススメ。梅肉に含まれるクエン酸には強い殺菌力がありますので食中毒対策にもなる一皿です。
- 豚肉の代わりに鶏肉(もも、胸、ささみいずれでもOK)を使っても美味しく作れますよ。

