料理を覚えたての頃に「和食のさしすせそ」というのを覚えました。
料理本で読んだのか母から教わったのか忘れましたが気が付くと知識として知っていました。
改めて記すと「和食のさしすせそ」とは和食を調理する時に調味料を加える順番を覚える語呂合わせです。
「砂糖(さ)→塩(し)→酢(す)→醤油(せおゆ=せ)→味噌(み"そ")」の順に入れると味が馴染みやすいよといった意味合いなのですが「語呂合わせなので仕方がないけど後半がけっこう苦しいなw」なんて思ったものです。
この言葉が示唆するものはもう一つあって和食はだいたいこの5つの調味料で味を構成するんだよという意味も持っています。
もしタイムマシンで三丁目の夕日の舞台になった昭和30年代に行って一般家庭の台所を覗くことができたら置いてある調味料のシンプルさに驚くことでしょう。
本当にさしすせそしかない!
あと、あるとしても酒、味醂、油といったところでしょうか(油は調味料じゃないけど)。
余談ですが映画「三丁目の夕日」で堤真一が演じた鈴木オートの社長(「がははは、細かいことは気にするな」的な典型的昭和のお父さん)が夕飯のおかずを食べて
「む、この肉じゃがは砂糖を後から入れたな。味が全く沁みていないではないか」
なんて海原雄山みたいな苦言を漏らす情景は全く想像できません。
あの頃のお父さんはだいたいそんな感じで味に鈍感なので「和食のさしすせそ」を律儀に守るお母さんの努力はたいてい無駄だった気がします。
時代が下るにつれてマヨネーズやトマトケチャップが一般家庭に浸透。
更にソース、ドレッシング、各種中華調味料、スパイスなどなど21世紀のキッチンに置いてある冷蔵庫を三丁目の夕日時代を生きていた人たちが覗いたら目を丸くすることでしょう。
調味料が多すぎる!
「さしすせそ」どころか50音分の語呂合わせが必要なくらいに瓶やらチューブが並んでいる!
そんな時代の変化に合わせてさしすせその常識も変貌してきたように思えます。
「お醤油の代わりにポン酢を使ったの? お鍋じゃなくてポン酢を炒め物に使うなんて新しい」
なんて言っていたのも今は昔。
今ではこんな料理もありふれたお惣菜になってしまった観がありますね。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- 豚バラスライス:70~80g
- 山芋:5cmくらい
- にんにく:ひとかけ
- エリンギ:半本
- 粗挽きブラックペッパー:適宜
- オリーブオイル:8g(小匙2)
- ポン酢醤油:10g(小匙2)
- バター:6g(大匙1/2)
- ドライパセリ:適宜
【作り方】
- 山芋は大き目のフォークを断面に刺してコンロの直火でまんべんなく炙って火を通します。2.の工程が終わるまで放置して冷まし皮付きのまま短冊に切ります。 ※山芋を炙り焼いた直後は熱くてやけどをする危険があるので冷ましてからさわりましょう。
- 豚肉は食べ易い大きさに切って塩、ブラックペッパーをまぶします。エリンギは5mm角の拍子木に切ります。にんにくはみじん切りにします。
- 冷たいフライパンに豚肉、山芋、エリンギ、にんにくを入れてオリーブオイルを回しがけよくまぶします。
- 3.を弱火にかけていじらずに5分焼き付けます。中火にしてざっくりと混ぜながら肉に焼き色が付くまで炒めます。
- 4.にポン酢醤油とバターを加えて絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。お皿に盛ってドライパセリを散らして戴きます。
【一口メモ】
- 以前、バター醤油で作ったことがありましたがちょっとこってりし過ぎかなと感じていました。ポン酢醤油に変えることでガッツリ系だけどさっぱり風味に仕上がって良い感じに是正できた気がします。
- 豚肉の部位をもも肉にすると更に脂っこさを抑えることができます。あるいは鶏むね肉やささみを使えばかなりヘルシーなおかずに変身しそうですね。
- エリンギは在庫があったので加えただけで必須ではありません。手持ちの野菜や茸を使って適宜アレンジしてください。