「孤独のグルメ2024大晦日スペシャル」の告知をネットで見かけました。
オンエアは夜10時~11時30分ですって。
中年のおっさんが一人で飯食っているだけの映像を1時間半も見せられるってどうよ──冷静に考えるとなんかへんてこな話なのですが人気が高いですよね。
孤独のグルメはいわゆる「グルメドラマ」のひとつの到達点だと僕は思っています。
ライバルも出てこない。
料理対決もない。
親子の葛藤もない──徹底的にそういったドラマ性を排して「食事をする」というポイントに絞った潔さも人気の秘密なんじゃないかな。
おひとりさまというスタイルも今の時代にマッチしているのだと思います。
焼肉やホルモン、和定食、丼もの、居酒屋メニュー、ラーメンや蕎麦などの麺類、エスニック料理に洋食。
あのドラマに登場する料理にはひとつの共通点があります。
誰もが知っていて一度ならず食べたことのあるものばかり。
だから映像だけでも匂いや味をイメージし易く「美味しそう」と思えちゃうのでしょう。
これは孤独のグルメに限ったことではなくグルメドラマ、グルメ漫画に登場させる料理の鉄則だと思います。
舌を噛みそうなフランス料理の名前を並べられても「美味しそう」とは……
ならん気がするな。
であるならば選定される料理も時代によって変化するはず。
例えばもし明治時代や大正時代にグルメ小説が書かれていたとしたらそこに登場するのは明治、大正の庶民にとって馴染み深いもの。
今の僕らからしたら縁遠くて「それってどんな味の料理だろう。美味しいのかな」なんて言っているかもしれません。
同様に100年後、200年後の人に孤独のグルメの映像を見せたら変な顔をされるかもしれませんね。
「ハンバーグ? なにそれ美味しいの。なんかこげ茶色で全然食欲沸かないんですけど」
なんてねw。
今日の料理「里芋とこんにゃくの甘辛炒め煮」に使う里芋もこんにゃくも現代を生きる僕らからすれば少し馴染みが薄くなっちゃった食材かもしれません。
けど、昔の人にとってはまさにご馳走。
もしも江戸時代の黄表紙あたりで「一人舌鼓御馳走噺(ひとりしたつづみごちそうばなし)」なんてグルメ小説が書かれていたら──こんな料理も取り上げられていたんじゃないかな。
【材料】(1人前)
-調理時間:23分(粗熱を取る時間は含めていません)-
- 里芋:150g(小ぶりなもの5個くらい)
- こんにゃく:1/4丁
- サラダ油:4g(小匙1)
- 鷹の爪:半本
- 鰹出汁:80g(80ml)
- 刻み葱:適宜
[調味料パート]
- 濃口醤油:12g(小匙2)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- 酢:5g(小匙1)
- 砂糖:3g(小匙1)
【作り方】
- こんにゃくを下茹でする湯(分量外)を沸かします。待っている間にこんにゃくは大ぶりのスプーンでそぐように一口大に切ります。湯が沸いたらこんにゃくを加えて中火で5分茹でます。 ※あく抜き不要と書かれたこんにゃくを使う場合、下茹では不要です。
- 1.をやっている間に里芋の皮を剥き2~3等分します。
- 小鍋にサラダ油と小口切りにした鷹の爪を入れて弱火にかけます。鷹の爪が踊り始めたら蒟蒻、里芋を加えて中火で1分炒めます。[調味料パート]を加えてやや強めの中火で2分炒めます。
- 3.に鰹出汁を加えてひと煮立ちさせ蓋をして弱めの中火で15分茹でます。火を止めて蓋を取り煮汁の水分を飛ばしながら常温まで自然冷却で粗熱を取ります。
- 4.を器に盛って刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- なんかほっこりした和食が食べたくなった時にぜひどうぞ。鷹の爪を仕込んであるのでぽかぽか温まるよ。
- こんにゃく、豆腐、薄揚げ、乾燥ひじきなどはおかずになりそうな食材が乏しい時のお助けアイテムです。いろいろなお惣菜が作れますので常備しておくととっても助かりますよ。
- 濃口醤油の量を半分に減らして同量のオイスターソースを加え鷹の爪の代わりに豆板醤を使うと中華風の煮物にすることもできます。その日の気分で自由にアレンジしてください。
- あり合わせの茸や青菜を加えるとボリュームアップするだけでなく栄養価の幅が広がって主菜級のおかずにアップグレードできちゃいます。