俗に寿司屋の技量を見たいなら「卵焼きを頼め」などと言われます。
これは寿司屋のネタの中でも明確に調理の過程があるのが卵焼きで寿司職人としてだけでなく料理人としての腕前を知ることができるからといったほどの意味だそうです。
この発想をスーパーマーケットに当てはめると「スーパーの技量を見たいならお惣菜を食べてみろ」といったところでしょうか。
言わずとしれた話ですがスーパーマーケットは既製の食料品を販売する小売店です。
棚に並んだ商品はメーカーから仕入れてきたものでその味や品質自体はスーパーによって変わることはありません。
身も蓋もない言い方をすれば「どこで買ったって同じなので安い方が勝つ」商売なのです。
そんな中でお惣菜だけは一般にその店のバックヤードで調理されたものが並ぶので店の顔、特にバックヤードスタッフの調理技術をうかがい知ることができる商品になります。
技術もさることながら種類の豊富さもアピールポイントは高いところ。
揚げ物ひとつとっても、若鶏の唐揚とコロッケくらいしかないのと野菜や海鮮などを組み合わせた何種類もの揚げ物がずらりと並んでいるのでは買い物客のワクワク感は雲泥の差が出ます。
「ど・れ・に・しようかな、神様の言う通り」
なあんて、迷いまくるほどの品数は見ているだけで楽しいものです。
定番揚げ物の中で一番人気メニューは獣肉で言えばロースカツか若鶏の唐揚あたりじゃないでしょうか。
そして、海鮮で言えばやっぱりこれ──海老カツ。
実はその歴史は古く大正時代初期の頃には海老を粗挽きにしたカツレツは既に存在していたとか。
実はこれだけ料理をしていて作ったことがなかったのですがいっぺん作ってみようかと一念発起して挑戦してみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:10分-
- むきえび:150g
- 薄力粉:適宜
- 卵:1個
- パン粉:適宜
- 揚げ油:適宜
[揚げ種パート]
- はんぺん:1枚
- 玉ねぎ:1/4個
- 片栗粉:9g(大匙1)
- マヨネーズ:12g(大匙1)
- 塩、ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 卵はよく溶きほぐしておきます。海老の半分をみじん切りに残り半分を1cm角程度の乱切りにします。[揚げ種パート]の玉ねぎは微塵切りにします。
- 揚げ油を180度に温めます。揚げ油が温まるのを待っている間にボウルに[揚げ種パート]のはんぺんをちぎりながら入れ[揚げ種パート]の残りを加えてポテトマッシャーで潰すようにしながら混ぜます。これに海老を加えて手で混ぜ込みます。
- 2.を4等分して小判型に形を整えて薄力粉を薄くまぶし卵をくぐらせてからパン粉をしっかり付けます。
- 油が温まったら木杓子に3.を載せてすべり台の要領でそっと油に投入します。そのままいじらずに1分半揚げます。ひっくり返して更に1分半揚げればできあがり。 ※一度にたくさん揚げると油の温度が下がってしまいますので2個ずつくらい揚げるようにしましょう。
【一口メモ】
- 海老の風味がしっかり利いたふわふわのはんぺんの中にぷりっぷりの海老がごろごろ入っているとても贅沢な一品です。味付けはタルタルソース一択かな。
- コロッケ同様、雑に扱うと油の中でパンクしたり崩壊したりする危険があります。油に入れる際はそっと優しく。油に入れたら表面がしっかり固まるまではいじらないという2点を必ず守ってください。
- 昭和6年出版の『料理する人の爲に』には「伊勢海老のコロッケ」としてレシピが掲載されているそうです。ぜったい美味しいやろ。
- できればタルタルソースも自作することをオススメします。マヨネーズ、ゆで卵、ピクルス(なければらっきょうや福神漬けでも可)があれば作れます。卵の鮮度が市販品とは段違いなので美味しいですよ。