僕が大学に入学した年に連載が始まった料理漫画があります。
誰もが知るそのタイトルは「美味しんぼ」。
良くも悪くもその後の食文化や食生活に多大な影響を与えた作品だと思います。
けど、今読み返してみるとかなり誇張や決めつけが多いんですよね。
徹底的に化学調味料を批判していたり、大企業の製品より家でお祖母ちゃんが作るものの方が必ず美味しかったり、
果ては料理とは全然関係ないのにMAC-OSを大絶賛。Windowsをこき下ろしてマイクロソフトに怒られたりw
初期の頃にあったすき焼きの回でも海原雄山にすき焼きとしゃぶしゃぶは牛肉を一番まずく食べる調理法だと言わせてすき焼き業界から抗議されてたりしたなぁ。
そんな中で特に印象に残っているのは「直火の威力」というタイトルの炒飯の回。
『放り上げられた飯が空中で炎の上を通り抜ける、その時、炎にじかに炙られる!それによって余分な油がとんで飯がパラリとなり香ばしくなるんだ。鍋の中でイジイジかき回してるだけじゃ本当のチャーハンはできないんだよ!』
なんて解説しながら主人公の山岡さんが実演してくれるのですが……
鍋を煽ってもご飯は真上に上がるので位置関係は低い方から炎、鍋、ご飯になるはずでご飯が直火に炙られることはないはず。
もし鍋を外して炎に炙られる低さにご飯を持ってきたら次の瞬間には鍋が間に合わずご飯がコンロにぶちまけられて大惨事になってしまうw
ちなみにご飯が炎に直に当たると、パラリとする前に表面が焦げる or 乾燥して硬くなるだけだと思います。
僕は手持ちがないのですがお家に料理用のバーナー(クレームブリュレなんかを作る時に使うやつ)があれば実験してみてください。
それでもこの回が発端となって「パラパラでなければ炒飯ではない」みたいな風潮が広がりましたね。
確かにあの頃の町中華の中にはご飯同士がくっついて団子みたいになっているできの悪い炒飯を出す店もあったので、
「これではいけない。チャーハンは米の一粒一粒がパラパラにばらけていなければ美味しくない」
という主張は僕も賛成です。
けどパラパラの度が過ぎてパサパサになってしまったらそれはそれで美味しくありません。
僕の理想は「米の一粒一粒がパラパラにばらけていてその上でしっとりしている炒飯」だなぁ。
なのでこういったウェットな炒飯料理も全然ありなのだ。
山岡さんには「こんなの本当のチャーハンじゃない」って叱られるかもだけどw
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- ご飯:1膳分
- ささみ:1本
- ピーマン:半個
- 卵:1個
- サラダ油:12g
- 刻み葱:少々
[炒飯の調味料パート]
- 塩:2g(小匙1/3)
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- ホワイトペッパー:少々
[スープパート]
- 水:200g(カップ1)
- 酒:15g(大匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- おろし生姜:ひとかけ分
- ごま油:2g(小匙1/2)
【作り方】
- の水と酒を小鍋に入れて強火にかけひと煮立ちさせます。待っている間にささみの筋を取っておきます。湯が沸いたらささみを加え再度煮立ったらすぐに火を止めて蓋をし、5分置きます。ささみを取り出して[スープパート]の残りの材料を加えます。 ※ささみは煮立てていない湯でじんわり火を通すとパサつきを抑えることができます。
- 1.と並行してピーマンはみじん切りにします。卵はよく溶いておきます。1.の工程が終わったら取り出したささみを手で粗くほぐします。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油を入れて強火にかけます。煙が立ち始めたら卵を加えてひとまぜします。ご飯を加えてよく和えながらパラパラになるまで炒めます。これを一旦盛り付ける深皿に取ります。
- 1.の小鍋を中火にかけて温めます。並行して3.の中華鍋にピーマンを加えてさっと炒めます。皿にご飯、ささみ、[炒飯の調味料パート]を加えてよく混ぜながら炒めます。
- 4.を茶碗に詰めて盛り付ける深皿に型抜きします。煮たてたスープを回しがければできあがり。 ※型抜きした炒飯をスープで崩さないように気を付けましょう。
【一口メモ】
- 一口食べてこれは炒飯と中華スープが一体化した完全食なのではないかと思いました。炒飯の上の方を掬えばパラパラ。スープと一緒に食べればしっとり。いろいろな食感を一皿で楽しめるのが良き。
- 味の要はスープに加えたおろし生姜。これがスープの風味をキリッと引き締めそのスープと一緒に食べることで炒飯の油濃さと良いバランスになるのだ。
- 世の中にはいろいろな種類の炒飯やスープがありますのでスープ炒飯の組み合わせは無限大。お気に入りのテイストを合体させてぜひいろいろ試してみてください。