子供の頃、食パンの耳を揚げて砂糖をまぶしたお菓子がおやつに出されることがありました。
なんでパンの耳だけ? って不思議がられそうな気もしますがサンドイッチを作る時に耳を切り落とすので残っちゃうんですよね。
もったいないから母はおやつに転用していました。
パン屋さんによっては耳を袋いっぱいに詰めて安く売っているお店もあります。
案外ポピュラーなおやつなのでご存じの方も多いかも。
ラスクっぽくて美味しいんだよなぁ。
中華料理には牡蠣を塩茹でしてから日干しした「ホウシー」という調味料があります。
ある時、今までは捨てていた牡蠣のゆで汁の味を見て「これ、美味しいのにもったいなくね?」と思った人がそれを煮詰めて別の調味料にすることを思い付きました。
これがオイスターソースの起源です。
昭和40年代、群馬県高崎市。
高崎市は知る人ぞ知るパスタ料理が盛んな街らしいのですが中でも一軒の老舗イタリア料理店のシェフがこんなことを考えていました。
ボンゴレを作った時のあさりのゆで汁は捨てているけど本当にそれで良いんだろうか?
だって……あんなに旨いのに!
いっそゆで汁をスープに仕立ててそれにスパゲティを浸してしまったらどうだろう──その発想の行きついた先でスープ・スパゲティが誕生したそうです。
1990年代には折からのイタ飯ブームに乗ってハウス食品が大々的にソースを売り出したのでスープ・スパゲティは一躍有名になっちゃいました。
これらの料理発祥エピソードの根っこにあるのは「もったいない」精神。
けど、なんでもったいないと思ったかがどれも同じというところが面白い──
『だって、こんなに美味しいのに』
考案者は食べることが大好きな食いしん坊だったんだろうなぁ。
とはいえスープ・スパゲティが有名になった頃、僕の中では違和感がありました。
なんかスパゲティがつゆに沈んでるのって変じゃね?
うどんや蕎麦なら当たり前だけど洋食が立ち食い蕎麦みたいになってるじゃん──って、それは偏見ってもんなんだろうなと思っているうちになんか慣れちゃいました。
とまれイタ飯ブームから二十数年後の令和の時代。
スープ・スパゲティも進化しているらしい。
茹でたスパゲティをスープに浸すのではなく近頃はスープで茹でちゃうスパゲティがあるらしいのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- スパゲティ:100g
- 豚ローススライス:30g
- キャベツ:2、3枚
- しめじ:数本
- オリーブオイル:4g(小匙1)
- バター:4g(小匙1)
[スープパート]
- 水:400g(カップ2)
- コンソメの素:3g
- 塩:1g(小匙1/6)
【作り方】
- 冷たいフライパンにバターを入れます。豚肉を食べやすい大きさに切ってこのフライパンに重ならないように並べごく弱火で5分焼きます。
- 1.をやっている間にキャベツは食べやすい大きさに切ります。しめじは小房に分けます。スパゲティは半分に折っておきます。
- 1.の工程が終わったら(豚肉はほぼ火が通って色が変わった状態になっています)フライパンにキャベツを加えて中火で1分炒めます。更にしめじを加えて30秒炒めます。
- 3.に[スープパート]を加えて強火にかけひと煮立ちさせます。スパゲティを加えて少しずらして蓋をし、弱めの中火でスパゲティのパッケージに記載された時間煮ればできあがり。
【一口メモ】
- 濃い目の味付けのスープにその味がよく沁みたパスタが新鮮。まさにスープ・スパゲティって感じの一皿です。
- スパゲティはとかく麺と考えがちですがこの料理では完全にスープの具材のひとつ。フォークとスプーンでどちらを使うか迷うところですがパスタを短く折っているのでスプーンでも十分掬えますよ。
- 某キャンプアニメでスパゲティを半分に折る描写が本場イタリアの方々の不興を買ったとか。なのでこのパスタを作るときはイタリア人にばれないようにこっそり作りましょう(をい)。
- ほぼありとあらゆるスープに応用が利きます。お好みのスープでスパゲティを煮て楽しんでください。スープをイチから作るのが面倒ならインスタントスープを使っちゃうのもありだと思います。
- 写真は蓋をせずに煮てしまってスープがだいぶ減ってしまった状態です。なのでこのレシピでは手順を少し変えて蓋をして煮る手順にしています。