飲んべえにはお気に入りの肴がある人が多くて「●●さえあれば、いくらでも飲める」なんて豪語する人も少なくありません。
豪胆な人は塩をつまみにするとか、味噌をつまみにするなんて人までいるとか。
それを聞いた時は「また酔狂な」なんて思っていましたが今なら「塩分過多になるのでやめなされ」と言ってしまいそう。
ま、余計なお世話というやつなんでしょうが(笑)
その話はちょっと極端ですが世の中にはお酒を飲むことに特化した食べ物──夕飯のおかずにはちょっと向かない食べ物というのがあります。
いわゆる珍味というやつですね。
珍味にはいくつか系統があってそれを軸に分類するとその体系を理解しやすいらしい。
例を挙げるとこんな感じ。
- 燻製:食材をいぶして乾燥させたもの。ビーフジャーキーなんて大好きです。
- 塩辛:食材を塩漬けにして発酵させたもの。イカの塩辛は熱燗に合う。
- 和え物:ウニ和えのように食材を和えたもの、酢漬けのように調味料を和えたものなどがあります。飲み屋のお通しでよく出て来るかな。
- 漬物:日本を代表する発酵食品。たくあんなんかはウィスキーに良く合うのだ。
- 干物:食材を天日などに干して乾燥させたもの。スルメなどはあぶるとめちゃ旨い。
などなど。
こうやって列挙すると我々の祖先がいかに珍味の開発、研究に心血注いでいたかその一端がうかがえる気がします。
今では珍味は栄養補給という食事本来の目的から外れて酒を楽しむためだけのものと思われがちですが中世の頃は貴重なたんぱく源だった模様。
ま、食料を安定供給する技術が拙かった時代ですから保存が利いて高たんぱくな食べ物というのは貴重だったのでしょう。
珍味の系統を5つばかり挙げてみましたがひとつだけ他と趣が違うものがあります。
それは「和え物」。
他の4つが乾燥や発酵という化学的な加工を施しているのに対して「和え物」だけは近代的な調理という手間が加わっています。
それは長らく保存食として工夫されてきた珍味が酒を楽しむためのものに変遷していった歴史の過程で生まれたものだからかもしれません。
もっと美味しいものが食べたい、もっと食事を楽しくしたい──ご先祖様のそんな欲張りな思いが梅クラゲのような和え物を生み出す動機だったんじゃないかな。
【材料】(1人分)
-調理時間:32分-
- 塩クラゲ:50g
- 蓮根:1/3節
- 大葉:1枚
- 梅干し:1粒
[調味料パート]
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 砂糖:3g(小匙1)
- 味醂:12g(小匙2)
【作り方】
- 塩クラゲは水(分量外)に浸けてよくもみます。水を替えて塩クラゲを30分浸け、塩抜きをします。塩抜きが終わったらざるに揚げてよく水を切ってお好みで食べやすい大きさに切ります(そのままでも構いません)。
- 野菜の水切り器をお持ちでしたら必ず使ってください。水っぽくない仕上がりになります。
- 1.をやっている間に蓮根は3mm厚にスライスして5分下茹でします。ざるに揚げて粗熱を取ったら3mm角の賽の目に切ります。梅干しは種を取って梅肉を細かく叩きます。大葉は糸切りにします。
- 梅干しと[調味料パート]を器に合わせて電子レンジの500ワットで30秒チンします。熱々のうちによく練って大葉を混ぜ込んでおきます。
- くらげ、蓮根、3.を合わせてよく和えればできあがり。
【一口メモ】
- 市販品に比べると控えめな味ですがその分、上品な小鉢料理に仕上がりました。ちびちび食べられるのでいつまでもなくならない気がして酒の肴にぴったり。
- お好みでレモンや柚子の果汁を数滴混ぜ込むと風味が変わってまた楽しいですよ。
- ご飯に混ぜ込んで混ぜご飯にしても美味しいです。風味がさっぱりしているので重ための肉料理などとの相性が特に良き。