もはやここ数年、年中行事のようになっていますが、毎年5月頃と10月頃になると娘が「近頃、日本には夏と冬しかない」と嘆きます。
確かに、つい先日まで「寒い寒い」と言っていた気候から、突然夏らしい暑さになったり、「いつになったら残暑は終わるねん」と嘆いていたと思ったら、いきなり木枯らしが吹きだしたり……
ほんと、勘弁してほしいですよね。
「これは異常気象だ」とぼやきたくなる気持ちはわかります。
けどね、ちょっとマクロな視点で考えてみてください。
この地球は氷河期と間氷期(=氷河期じゃない暖かい時期)を交互に繰り返していて、そのサイクルはなんと100万年単位だそうです。
今は間氷期に入って約1.1万年。
その前は、ものすごく寒い氷河期が続いていたのです。
「四季折々が楽しめるのが元々の日本の気候だったのに」──
という嘆きを聞くと、なんだか銭湯で小学生くらいの子どもが大人ぶって
「俺の人生、ろくでもないことばかりでさぁ」
なんて愚痴っているのを、にこにこ笑って聞いてやっているお爺ちゃん……そんな光景を思い浮かべてしまいます。
なぁんて賢しらしいことを書いてしまいましたが、やっぱり今を生きる僕らの関心は「今日の天気」にしか向かない。
それもまた、致し方ないことです。
「何万年前の天気なんてどうでもいい。それより今日これから雨が降るかどうかが気になるねん」──というのは、まったくもってもっともな主張。
特に長らく農耕で暮らしてきた日本人にとって、雨という気象現象は特別な意味を持っていたようです。
だからこそ、昔の人たちは雨にたくさんの名前をつけました。
秋雨、陰雨、煙雨、甘雨、片時雨、神立、急雨、霧雨──挙げればキリがないほど、季節や時間帯、降り方の違いで呼び名が変わります。
それだけ「今日、雨が降るかどうか。降るならどれくらい降るのか」は大きな関心事だったのでしょう。
そして中には、その雨の状態に似ていることから名付けられた料理もあります。
「みぞれ」もそのひとつ。
みぞれとは、雨に湿った雪が混じった降水や、とけかかって降る雪のこと。
その“みぞれ”に見立てて、大根おろしをしょうゆやみりんで和風に仕上げた料理を「みぞれ煮」と呼ぶようになりました。
また、砂糖と水を煮詰めた色のないシロップをかけたかき氷を「みぞれ」と呼ぶのも、同じ発想からきています。
最近ではその発展形として、大根おろしを加えた料理全般に「みぞれ」という冠詞をつけることもあるようです。
そして、茨城県発祥のご当地ラーメン「みぞれラーメン」もその一つ。
醤油とんこつラーメンにこんもりと大根おろしがトッピングされているのが特徴だそうです。
【材料】(2個分)
-調理時間:20分-
- 袋入りラーメン(醤油とんこつ味がおススメ):1袋
- 大根:100g
- ポン酢醤油:10g(小さじ2)
- 豚ローススライス:50g
- あり合わせの野菜:玉ねぎ、もやし、人参、茸など
- サラダ油:4g(小さじ1)
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大さじ1/2)
- 酒:5g(小さじ1)
- 砂糖:3g(小さじ1)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 豚肉は食べやすい大きさに切り[調味料パート]と合わせて10分漬け込みます。あり合わせの野菜も食べやすい大きさに切っておきます。
- 1.の漬け込みをやっている間に大根はかつら剥きにしてすりおろしてフライパンに入れます。これにポン酢醤油を加えて中火にかけ2分煮たら器に取っておきます。
- 1.の工程終わり2分前になったら2.のフライパンにサラダ油を入れて中火にかけ野菜類を加えて2分炒めます。これに豚肉を[調味料パート]ごと加えて肉の色が変わるまで炒めます。
- ラーメンに記載されている半分の量の水と粉末スープの半量を小鍋に合わせ、ひと煮立ちさせて火を止めておきます。並行して、麺を茹でる湯(分量外)を別に沸かし、規定時間どおりに茹でます。 ※ラーメンのスープは全量使うと塩分過多になりがちなので、半量で作るのがおすすめ。残った粉末スープはチャーハンなど別の料理に再利用できます。また、麺も塩分が多いため、別鍋で茹でて、茹で汁に塩分を流すことで調整できます。
- 小鍋のスープを再び中火にかけて沸騰させ、麺を丼に入れてスープを注ぎます。炒めた豚肉と野菜をトッピングし、仕上げに大根おろしを円錐形に成形して中央に盛ればできあがり。大根おろしをスープに少しずつ崩して、味変を楽しみながらいただいてください。
【一口メモ】
- まずはそのまま麺を手繰って、普通のとんこつラーメンを味わってみてください。その後、大根おろしをスープに混ぜ込むことで、**ポン酢の柑橘系の風味が広がる“みぞれスープ”**に味変!大根おろしのシャキシャキ感も加わって、新鮮な体験が楽しめました。
- 「みぞれラーメン」は、茨城県発祥の大根おろしがトッピングされたラーメン。ベースが醤油とんこつであることが多いそうなので、それに合わせたレシピにしてみました。
- 肉は鶏の胸肉やささみでも合いますし、野菜類は冷蔵庫のあり合わせでOK。できるだけいろいろな種類を加えると、スープに深みが出ておすすめです。