なぜ酢豚にパイナップルを入れるのか?
その答えはけっこうバカバカしい話だったりします。
清の時代、香港や上海で欧米人が主なお客だった中華飯店で料理に高級感を出そうとして当時は珍しく高級食材だったパイナップルを入れてみたというのが起源らしい。
皿単価を上げるために本来の料理には必要ではない高級食材を使うというのは意外とオーソドックスな手法のようです。
例えばスパゲティ・カルボナーラはイタリアでは卵のみで作りますが日本のパスタハウスでは生クリームを使うのが主流です。
青椒肉絲も中国では豚肉を使いますが日本では牛肉を使うのがメジャー。
いずれもお店の売上を伸ばすための工夫というのが主な理由だったんじゃないかなと僕は思っています。
もちろんお客はその贅沢さ込みで食事を楽しんでいるわけで、ずるいのなんのと言うのは筋違いな気がしますが。
同様に本来はチープな食事だった丼料理にサーロインステーキやローストビーフを載せた肉丼、海の幸がみっしり載った海鮮丼なども同じ発想で「ぜいたくをしている」という満足感をお客に与える工夫だと僕は思っています。
ただ、ご飯前提の丼ならば具材は自由自在なのですが麺料理となるとそうもいきません。
ラーメンの上にサーロインステーキが載っているとか刺し身がてんこ盛りというのは食べにくいだけじゃなくてあまり美味しそうな気もしません。
じゃあ麺料理にステーキを合わせるにはどうすれば良いか──その難題のひとつの解としてこんな料理を作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- 袋入りラーメン(塩がオススメ):1袋
- 牛こま:70?100g
- 玉ねぎ:1/4個
- レモン果汁:10g(小匙2)
[下味パート]
- 塩:1g
- ブラックペッパー:少々
- オリーブオイル:12g(大匙1)
【作り方】
- 牛こまは食べ易い大きさに切ります。玉ねぎはみじん切りにします。
- 冷たいフライパンに1.と[下味パート]を合わせてよくまぶしそのまま火にかけずに10分放置します。 ※玉ねぎにはタンパク質を分解するプロテアーゼという酵素が含まれていますので肉を柔らかくする効果があります。
- 2.のフライパンをごく弱火にかけてそのままいじらずに10分焼きます。ざっくり肉をひっくり返して更に5分焼きます。
- 3.の完了に合わせてラーメンを普通に作ります。これを丼に移して3.をトッピングし肉の上からレモン果汁をかければできあがり。
【一口メモ】
- 肉は細切れなので口の中でほろほろ崩れます。そして塩とブラックペッパーの味付けで風味はしっかりとステーキ! 思った以上に贅沢な気分が味わえる1杯になりました。
- フライパンが冷たい状態から弱火でじっくり焼くコールドスタートという技法を使っているので火の入りが柔らかくジューシーに仕上がります。そして玉ねぎの酵素の効果で柔らかい。
- レモン果汁がさっぱりとした後口を演出してくれます。量はお好みで加減してください。ラーメンの味はレモンとよく合う塩がオススメです。