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ラーメン(アジアの麺類含む)

和風トマトラーメン

「あれを味噌汁の実にすると旨いねんで」

そんな話を飲み屋で聞いたのはいつのことだったでしょう。

「またまたぁ」

なんて常連のひとりがにやにや笑い別の常連は

「そんなわけあるかいな」

と肩をすくめても誰もその場でスマホを取り出して事の真偽を検索しようとした覚えがないのできっとスマホが普及するより前、21世紀になるかならないかくらいの昔の話だったと思います。

「いやほんまに旨いんですよ。トマトの味噌汁」

真顔で大将が言ってもなかなか誰も信じようとしなかったのを何となく覚えています。

というか「いやゲテもんすぎやろ」って顔をしていた気がするな。

その場に居合わせた僕はとりあえず試してみる派だったので後日トマトを買ってきて味噌汁を作ってみたのですが──旨かった。

ウソみたいに美味しかったのを覚えています。

「いままでで一番旨かったおでんの種はあれかな」

全然別の店でそんな話題が出ました。

けど店の客たちの反応は引き気味で

「またまたぁ」

「そんなわけあるかいな」

と言ったセリフが飛び出すどこかで見たような光景。

「いやホントに美味しいんですってトマトのおでん」

この話が出たのはトマトの味噌汁の話題よりだいぶ後だったのでしょう。

誰かがスマホで検索して世の中に「トマトのおでん」なるものがあって、けっこう人気があることもその場で判明しました。

こんな風にどうも僕はトマトと場違いなところでめぐり合わせる運命を持っているようで横浜に単身赴任していくばくかした頃、川崎の街で「トマトラーメン」なるものがウリのラーメン屋と巡り合ってしまいました。

20世紀の頃の僕だったら「また物好きがおるもんやな」と前を素通りしたと思うのですがその店を見かけたのは味噌汁、おでんで学習したずっと後の話。

「もしかしたらこれも旨いのかもしれん」

思わずふらふらっと入ってしまいました。

そしたら──めっぽう旨かった。

よく考えてみるとミネストローネスープのようにトマトを使ったスープは洋食で普通にありますから味噌汁やおでんに比べたらずっと普通な料理だよなと後から気づきました。

〆に少量のご飯をスープに浸してリゾット風に戴く「らあリゾ」もすっかり気に入っちゃいました。

関西に戻ってきてからもたまにあのトマトラーメンが恋しくなるのですが家の近所に出しているお店はなし。

となれば……作るしかない。

ということで、懐かしのトマトラーメンとはだいぶテイストが違いますがちょっと和風に寄せたこんなラーメンを作ってみました。

【材料】(1人分) 

調理時間:17分-

  • 中華麺:1玉または棒ラーメン100g
  • 牛もも肉または牛こま:50g
  • 椎茸:1本
  • 大葉:1枚

[しぐれ煮パート]

  • はちみつ:3g(小匙1/2)
  • 酒:5g(小匙1)
  • 生姜:スライス1枚
  • 濃口醤油:9g(大匙1/2)
  • 味醂:6g(小匙1)

[スープパート]

  • トマトジュース:200g
  • 水:200g
  • 中華スープの素:3g
  • オイスターソース:6g(小匙1)
  • 味噌:6g(小匙1)

【作り方】

  1. 椎茸は軸を切り離してスライスします。軸も石突を切り落としてスライスします。これらと[スープパート]の水を小鍋に合わせて強火にかけ1分加熱します。蓋を取ってごく弱火にし10分かけてゆっくり加熱します。10分経過したら[スープパート]の残りを加えて中火にかけ煮立つ寸前に火を止めます。 ※椎茸は70~80度で最も旨味成分が抽出しやすくなります。強火で一気に70度近くまで加熱し、以降ゆっくり温めることで良い出汁が挽けます。
  2. 1.と並行して牛肉は食べやすい大きさに切り、フライパンに[しぐれ煮パート]のはちみつ、酒と合わせてよくまぶし、そのまま10分おきます。[しぐれ煮パート]の生姜は千切りにします。待っている間に大葉も千切りにします。
  3. 2.のフライパンを中火にかけ肉の色が変わるまで炒めます。これに[しぐれ煮パート]の残りを加えて絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めます。
  4. 工程1.の椎茸を10分煮出す作業が終わったらラーメンを茹でる湯(分量外)を沸かし始めます。湯が沸いたらラーメンを規定時間茹でてしっかり湯切りします。
  5. 丼にラーメンを入れて1.のスープを注ぎ3.の牛肉のしぐれ煮をトッピングします。仕上げに千切りの大葉を載せればできあがり。

【一口メモ】

  • 見た目に反して純和風の濃厚味噌ラーメンです。トマトに味噌? って思うかもしれませんが実は昔、居酒屋の大将から教わった「トマトの味噌汁」がすごく旨かったのです。その大将の折り紙付き。ぜひ、騙されたと思ってお試しあれ。旨いですよ。
  • 味噌の風味が飛ばないようスープは煮立つ寸前で火を止めるのがポイントです。
  • 冷蔵庫のあり物を使ってトッピングに牛肉のしぐれ煮を使いましたが特に拘りはありません。オーソドックスに叉焼やハムを載せても良いですし変わったところでは豚の生姜焼きをトッピングなんてのも面白いと思います。
  • 麺を食べ終えたらお茶碗半分くらいのご飯をスープに加えてリゾット風にして楽しんでください(スープはちょっと温め直しましょう)。トマトラーメン専門店では「らあリゾ」と呼ばれる人気の〆の一杯です。らあリゾを食べる時は粉チーズとタバスコを振ると更に美味しいですよ。

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