ご飯におかずを載せるスタイルの料理はアジア各国に見られますが使う器に着目すると料理の盛り付けは丼盛りと皿盛りの二種類に分類できます。
丼盛りは日本を中心としたスタイル。
特に日本では圧倒的にこっちが多数派ですね。
平たい皿に盛りつける皿盛りはタイのカオマンガイ、インドネシアのナシゴレン、シンガポールのアドボ(甘酸っぱいタレで煮た肉を具にした料理でイメージは牛丼に近いかな)などが挙げられます。
どっちの盛り付けがより優れているか──なんてどこぞの漫画の料理対決めいたことは言いませんがその特徴ゆえにどちらの盛りにも良いところがあります。
僕ら日本人には少し馴染みが薄い皿盛りの特徴はご飯とおかずの一体感がやや薄くそれぞれを独立させられることです。
丼が全体で一つの料理という感じなのに対してご飯とおかずが同居している感じかな。
それゆえに生まれる長所があります。
ひとつにはおかずの個性を活かせること。
揚げ物のサクサク感を保ちたい場合などはこっちがおススメ。
ご飯とおかずの比率を自由に調整できるのも長所と言えます。
丼と違っておかずとご飯を混ぜる前提ではないので一口ごとのご飯とおかずのバランスを好みに合わせて調整できるのです。
サイドメニューを添えやすいなんてのも盛り付け面積が広いゆえの長所ですね。
なんて書くと丼物至上主義の方(笑)からは
「けっ、要は盛り付ける器が足りねぇから一つの皿にご飯とおかずを盛っているだけじゃねぇか。盛りに必然性がねぇんだよ。ご飯とおかずに一体感を持たせるために一椀に盛る丼物とは大違いだぜ。」
なんて憎まれ口を叩かれそうですが皿盛りの長所はこれだけではありません。
皿盛りの一番の長所は見た目華やかで美麗な盛り付けができること。
「何言ってやがる。海鮮丼が美麗じゃねぇっていうのか」……。
って、人の話の腰を折るんじゃない > 丼物至上主義者
絵を描く際の画用紙の形状をイメージしてください。
丸い画用紙(丼盛り)と長方形の画用紙(皿盛り)ではどちらが自由に絵が描けるでしょう?
答えは自明ですね。
もしも丸い画用紙の方が自由に絵が描けるのなら画材屋に並んでいる画用紙はみんな丸い形をしているでしょう。
「てやんでぇ。丼には丼の良いところがあるんでぇ」
はいはい。
今からそれを書きます。
って、なんで江戸っ子風なの?w
丼盛りにもいろいろな長所が挙げられます。
- 食べやすい:片手で持ちやすく、スプーンや箸で簡単にすくえる。
- コンパクト:ご飯とおかずが一つの器に収まり、配膳や片付けが楽。
- 温かさが持続する:器の形状により、熱が逃げにくい。
などなど。
けどなんと言っても一番の長所はご飯とおかずの一体感が生み出せること。
タレや汁がご飯に染み込んで一体感が生まれることでしょう。
でもね、この特性は丼の長所であると同時に短所でもあるのです。
だって見方を変えるとこれはおかずの独立性が低いともいえますから。
例えばおかずが揚げ物の場合、サクサクした食感が身上と考える人は多いでしょう。
ところが例えばかつ丼のカツはタレが沁みてそのサクサク感を損ねています。
かつ丼を食べなれた僕らは「あれはそういう料理だから」とつい思いがちですがよその国の人が食べたら「せっかくのカツがべちょべちょじゃん」とがっかりするかも。
逆に牛丼の場合はおかずの配分を誤って先にお肉がなくなってでもタレが沁みたご飯だけでも十分楽しめる料理と言えます。
要はその料理をどのように楽しみたいかによって盛りを使い分けるのが賢いと言えるのでしょう。
ご飯はご飯としておかずはおかずとして楽しみたいなら皿盛りで。
ご飯とおかずの一体感を楽しみたいなら──なんならおかずをご飯に混ぜ込みながら食べたいなら丼盛りを選択するのが賢明と言えます。
過日、中華飯店でエビチリ卵の定食を戴いたのですが白ご飯とおかずを交互に食べながら「これ、ぜったいご飯に混ぜたら美味しいやん」と思ってしまったのです。
ということで後日、エビチリ卵 on the ライスを試作。
盛りはもちろん丼盛り一択。
まずはご飯とエビチリ卵を別々に食す。
それが堪能できたらおもむろに蓮華を突っ込んでご飯にエビチリ卵を混ぜ込むべし。
これぞ丼盛りの醍醐味ですね。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- むき海老:50g
- 卵:1個
- サラダ油A:8g(小匙2)
- サラダ油B:4g(小匙1)
- にんにくみじん切り:ひとかけ分
- 生姜みじん切り:スライス1枚分
[餡パート]
- 水:80g
- 鶏がらスープの素:2g
- 酒:5g(小匙1)
- トマトケチャップ:15g(大匙1)
- 砂糖:3g(小匙1)
- 片栗粉:4.5g(大匙1/2)
[レモンガーリックライスパート]
- ご飯:1膳分
- にんにくみじん切り:ひとかけ分
- サラダ油:6g(大匙1/2)
- レモン果汁:15g(大匙1)
- ターメリックパウダー:小匙1
- 塩:1g(小匙1/6)
- 味の素:ひとふり
【作り方】
- フライパンに[レモンガーリックライスパート]のにんにくとサラダ油を入れて弱火にかけます。香りが立ってきたらターメリックを加えて油と和えるようになじませます。残りの材料を加えてよく和えたら火を止めて深皿に盛り付けます。
- 卵は割ってよく溶きほぐします。にんにく、生姜はみじん切りにします。[餡パート]を合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンにサラダ油Aを入れて強火にかけます。フライパンが温まってきたら卵を流しいれ半熟のスクランブルエッグにして一旦皿に取ります。
- 3.のフライパンを洗わずにサラダ油Bとにんにく、生姜、豆板醤を入れて弱火にかけます。香りが立ってきたら海老を加えて中火にし、さっと炒めます。
- 4.に[餡パート]を加えて水気を飛ばしながら絡めます。水気が半分くらいになったら3.の卵を戻して手早くかき混ぜて火を止めます。これを1.のレモンガーリックライスにまんべんなくトッピングすればできあがり。
【一口メモ】
- ご飯部分は白ご飯だと味が噛み合いにくそうだったのでにんにくを利かせたターメリック・レモンライスにしています。酸味の利いたエスニック風味のご飯は中華のおかずにも良く合うのだ。
- もちろん、ご飯とエビチリ卵を別々に戴いても良いのですが丼盛りにすることでご飯に海老チリの味付けを沁み込ませて別盛りでは味わえない味のグラデーションを楽しむことができるようになります。
- 合わせるスープは酸辣湯のように酸っぱ辛い系がおススメ。あるいはスパイスを利かせたエスニック系のスープも良く合いますよ。
- サラダを合わせるとすれば千切り大根に酸味の強いドレッシングを合わせるなど水分多めでさっぱり系のものがおススメです。