今時の喫茶店は食事も洗練されているのでそんなことはないかもしれませんが昭和の昔、喫茶店のランチと言えばなぜかケチャップまみれのスパゲティが添えられているのがお約束でした。
それも2、3口で食べられそうな半端に少ない量。
これはフランス料理の世界ではスパゲティナポリタンがガルニチュール(付け合わせ)として扱われることが多くそれに倣ったのが形だけ残った名残ではないかと言われています。
とはいえ他のおかずと無関係にしか見えないスパゲティの場違い感はハンパなくて「なんでお前はそこにいるんだ?」とつい訊いてみたくなる「いらない子」的な存在でした。
これと似た例は他にもあって披露宴の前菜の定番「生ハムメロン」や酢豚の中のパイナップルなどにも「なぜおまえはそこにいるのだ?」と尋問したくなりますw
けれど同じ場違い感でも嬉しい場違い感を覚える場合もあります。
たとえばハンバーガーショップで海老をふんだんに使った「海老バーガー」なんてのがあったりすると「お、食べてみたいかも」なんて心惹かれたりします。
元来、ハンバーガーショップは肉を楽しむお店です。
なのに敢えて海の王者ともいうべき海老を参入させるとは──おぬしなかなかやるな。
なぁんて、時代劇に出て来る剣豪みたいなことを言いたくなります。
海老というのは不思議な食材で場違いっぽく見える料理にまぎれこんでいてもなぜか居て当たり前な気もしてしまうんですよね。
例えば「海老バーガー」などもそうですしサンドイッチにタルタルソースと一緒に挟まっていてもおかしくない。
サラダに入っていてもちょっとリッチなシーフードサラダになってしまう。
ご飯ものでもホームグラウンドの握り寿司だけでなく炊き込みご飯に入っていても海老ピラフになっていてもおかしくない。
カレーに入っていればシーフードカレーということになっちゃうし焼きそばやお好み焼きに使うのも全然あり。
どの料理に入っていてもけっして「いらない子」にならないどころか料理を一段と華やかで豪華なものにしてくれます。
そして──この天津飯風のあんかけ料理でもそれは同じ。
卵の中に海老がごろごろ入っていたらそれだけでお店のメニューに書かれるお値段が1、200円は高くなると思うのですよ。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- ご飯:1膳分
- むき海老:10尾くらい
- ごま油:6g(大匙1/2)
[卵パート]
- 卵:1個
- 料理酒:15g(大匙1)
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- マヨネーズ:4g(小匙1)
[餡パート]
- 水:150g(カップ3/4)
- オイスターソース:6g(小匙1)
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- 水溶き片栗粉:6g(小匙2)分
【作り方】
- [餡パート]の水溶き片栗粉以外を小鍋に合わせてひと煮立ちさせます。これに水溶き片栗粉を加えてとろみを付けます。並行して[卵パート]を小さめのボウルに合わせて卵をよく溶くように混ぜます。
- フライパンにごま油を入れて中火にかけ海老を加え軽く焼き色が付くまで炒めます。これに[卵パート]を加えてさっと混ぜ半熟になりかかったあたりで火を止め余熱で半熟にします。
- 丼にご飯を盛って2.を載せ餡をかければできあがり。
【一口メモ】
- ただの天津飯と思いきや卵をかじった途端ぷりっぷりの海老がはじける嬉しい誤算。比較的お財布に優しいむき海老ひとつまみで味わえるこの贅沢感はまさに「海老で鯛を釣る」といった気分……って何か違うw
- 卵はとろとろの半熟が身上の料理です。火を入れ過ぎず途中で火を止めて余熱で仕上げてください。物足りなければ一瞬強火にかけて熱を追い足しましょう。
- お好みで餡パートに豆板醤を加えてエビチリ風にしても楽しいですよ。