京都は祇園に「壹銭洋食」というお店があります。
壹銭洋食とはメリケン粉の生地に具材を包んで焼いてソースをたっぷりかけた料理。
元祖粉物、お好み焼きのルーツのような食べ物です。
ここの看板にはいきなり『おわび』と書かれてあって「壹銭洋食しかようつくれません。悪しからず」なんて粋な文章が続きます。
で、本当に店のメニューは壹銭洋食1品だけ。
あとはビールやラムネなどの飲み物ばかりなんですよね。
店主の壹銭洋食にかける矜持を感じさせてくれるコンセプトです。
この壹銭洋食はちょっと極端な例ですが特定の料理をウリにしている飲食店のメニューはわりとシンプルであることが多い気がします。
マクドナルドだって最初はハンバーガー、チーズバーガー、ダブル、ビックぐらいだった気がするんですよね。
それがいつの間にか照り焼きが登場してチキンタツタなんていう牛肉すら使っていないハンバーガーが出てきて、カレー、炒飯などなどキワモノ的な(笑)メニューが登場しては消えました。
壹銭洋食のように何を食べるか迷わずに済むお店も良いけれど、やっぱり飲食店の楽しみのひとつは豊富なメニューの中から「何を食べようかな」と迷うことなんじゃないかな──
なんて、イマドキのマクドのメニューを眺めながら思いました。
更になんでそうなったと言わずにいられないメニューもあるみたい。
ラーメンの「天下一品」には特定の店舗でハンバーガーを売っていたことがあるらしいですし、逆にハワイのマクドナルドではサイミンと呼ばれるラーメンっぽい料理が食べられるそうです。
それに比べたらこの丼なんてかわいらしいもの。
吉野家のメニューに載っていてもなんの不思議もない気がします。
いつもと違う味の牛丼が食べたい──メニューの多様化は客のそんな我儘にお応えすべく生まれるべくして生まれてきた品々だと思います。
けど、壹銭洋食にはあれ以外の料理を出してほしくないな──なんて思うのも客の我儘なんでしょうか(笑)
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- ご飯:1膳分
- 牛バラ肉:100g
- 卵:1個
- 山芋:1cmの輪切り
- 白ネギ:10cm(なけれぼ玉ねぎ1/4個)
- 生姜:スライス1枚
[調味料パートA]
- だし汁(昆布出汁):120g(120ml)
- 酒:25g(25ml)
[調味料パートB]
- 牛ダシダ:6g(なければ鶏ガラスープの素小匙1)
- ポン酢醤油:15g
- 濃口醤油:3g
- 味醂:9g(大匙1/2)
【作り方】
- 白ネギを薄切りにします(玉ねぎなら細切りにします)。鍋に白ネギと[調味料パートA]を合わせてひと煮立ちさせ蓋をして弱火で10分煮込みます。
- 1.をやっている間に牛肉は食べやすい大きさに切ります。卵は白身と黄身にわけて白身を丼に盛ったご飯に混ぜ込みます。山芋は皮を剥いてすりおろします。生姜は細切りにします。
- 1.をざるで濾して煮汁を鍋に戻し牛肉、生姜、[調味料パートB]を加えてひと煮立ちさせます。肉の色が変わってきたら弱火にし、蓋をせずに10分煮込みます。火を止めてざるに残っているネギを加えてよく混ぜます。
- 2.の丼に3.をかけ、その上からすりおろした山芋をかけて真ん中をくぼませ、黄身を載せればできあがり。
【一口メモ】
- 普通の牛丼みたく醤油と砂糖の甘辛にするとくどいのでポン酢を主軸に味付けしました。ほんのり味醂の甘みを感じますが総じてさっぱりとした丼。ポン酢の持つ柑橘系の香りも良い感じです。
- 汁の量は[調味料パートA]のだし汁の分量で加減してください。僕はわりとじゃぶじゃぶなくらいのつゆがくが好みかな。
- お好みで白ごまや焼き海苔などの薬味を加えても美味しいですよ。七味唐辛子をかけるのもありかな。