明治の文明開化はヨーロッパの5倍のスピードで進行した。
なんてコラムをネットで見かけました。
その例に挙がっていたのが海水浴。
ヨーロッパでは中世まで海は近づいてはいけない禁忌。
神の手の届かない悪魔の領域と信じられていたらしい。
18世紀ころに健康に良い、病気が治るなどの説が登場し治療目的で海に入る(というか海に浸かる?)という手法が推奨されるようになった。
それから約100年後、イギリスに世界最古の海水浴場ができて海水浴は療養からレジャーに変わっていったそうです。
ところが、日本では「海に浸かると健康に良いらしいぞ」という話が浸透してからたった20年で海水浴場ができてレジャーへと変遷したという。
なんとなく想像してはいたけれど数字で示されるとその凄まじさを改めて実感しますね。
思い切りが良いというか、切り替えが速いというか。
廃仏毀釈や浮世絵のたたき売りなど良くない面も備えてはいたけれど、その貪欲さが日本を超速で近代国家に変貌させた原動力になったのは間違いないでしょう。
食文化も然り。
最初は怖がられていたけど食べてみたらめちゃ旨いと牛鍋屋が流行ったのも明治人の好奇心旺盛なマインドの査証だと思います。
初期の牛鍋は牛肉を使った鍋料理全般を指していたらしく、すき焼きはそのひとつに過ぎなかったらしい。
決まっているのは牛肉と葱を使うところまでであとは客が好き好きに味や調理法を試していたなんて文献があるあたり試行錯誤の様子が目に浮かびます。
けど、それもおよそ20年くらいのハイペースで統一見解が生まれ、「牛鍋はこういうもの。すき焼きはこういうもの」というスタンダードが構築されました。
で、21世紀の今。
原点回帰してそもそもの味付けから見直してみようなんて高邁な考えを持ったわけでもないのですが、すき焼きの手法を煮込み料理であるカレーに転用したらどうだろうと考えてこんな料理を作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 牛バラ肉:200g
- キャベツ:数枚
- 牛脂なければサラダ油:適宜
- カレールウ:1/4箱
- (あれば)ガラムマサラ:少々
- 水:350g
[調味料パート]
- 濃口醤油:36g(大匙1)
- 砂糖:13.5g(大匙1.5)
- 酒:15g(大匙1)
- 味醂:18g(大匙1)
【作り方】
- 牛肉とキャベツを食べ易い大きさに切ります。
- 鍋を熱して牛脂を融かします。これに牛肉を入れ強火で色が変わるまで焼きます。
- 2.に[調味料パート]を加えて炒り付けます。これにキャベツを加えてしんなりするまで焼きます。
- 3.に水を加えてひと煮立ちさせます。カレールウを加えて蓋をし、中火で10分煮込みます。仕上げにガラムマサラを振ればできあがり。
【一口メモ】
- カレーなんだけどその中にしっかりすき焼きの風味が活きている不思議な料理になりました。甘口が好きな方にはめっちゃ好まれそう。
- 肉はおよそすき焼きには向かない安いバラ肉を使っています。煮込み料理であるカレーだからこそ成立するテクニックですね。
- すき焼きの調理法は関西風に焼いてから煮込む手順にしています。なので割り下は使いません。
- 野菜のチョイスは迷ったのですが洋食に寄せたかったのでキャベツを使いました。定番の白ネギをしっかり焼いて加えるのもありだと思います。