アメリカの作曲家ジョン・ケージが1952年に世に送り出したピアノ曲「4分33秒」はあることでとても有名になった楽曲です。
この曲が有名な理由とは……
「楽譜全編に休符しか書かれていなくて音が一度も鳴らされない」こと
聴衆はタイトルの通り4分33秒の間ずっと無音を「聴かされる」ことになります。
彼がこの曲を着想した発端がユニークでその10年ほど前、彼はサンフランシスコ病院で訪れる子供たちを楽しませる仕事をしていたらしいのですが病院側が出した条件が
「患者を邪魔しないために音を立てないこと」
だったとか。
いやだったら音楽家を雇うなよwこの曲の初演は1952年8月29日ニューヨーク州にある裏手が森林に向かって開放された音楽ホールで行われました。
演奏者のデイヴィッド・チューダーはストップウォッチで時間を計りながら演奏したとか。
律儀だなぁ。
演奏開始からいくら待っても音が鳴らないので客席は騒がしくなり、会場を去ろうとする者もいたそう。
しかも当日は雨が降り、会場には風の音やブリキの屋根にあたる雨音、そして聴衆が立てる音が会場に響きました。
皮肉なことにそれが演奏中の唯一の音楽だったとか。
ちょっと生で聴いてみたかったな。
僕自身はこういう皮肉は大好きな方ですが多くの聴衆は怒っちゃうんじゃないかしらん。
コンサートに行って音が鳴らなければ観客が騒ぐのは当たり前。
「演奏が始まったら音が鳴るはずと考えるのはあなたの思い込みでしょう」
というのは理不尽が過ぎる気がします。
けど世の中には真逆の理不尽もあるようで過日、こんな話をネットで見かけました。
老舗の洋食店で先代店主が亡くなりその息子が二代目として店を引き継ぎました。
その頃から常連客の間で「味が落ちた」という噂が立ち始め「あの店はもう駄目だ」なんてことをいう人まで出て来たとか。
それを耳にした新しい店主は「理不尽だ」と嘆きました。
「そんなわけあるかい。もう何年も前から店の料理は親父じゃなく俺が作っているんだ」
これは気の毒としか言いようがありません。
『料理人が変われば味も変わるに違いない』──そんな思い込みが通ぶった客たちの舌にありもしない味の変化を感じさせたのでしょう。
かのピアノ曲が作り手の理不尽ならこちらは受け手の理不尽。
けど、いずれ劣らず皮肉な話です。
「今宵はサーモンのリゾットでございます」
そう言って給仕が皿をサーブします。
貴方は料理をスプーンで掬い火傷をしないようにふうふう吹いて口に入れると──冷たい!
驚いて顔を上げた時、給仕の顔にしてやったりと言わんばかりの笑みが浮かんでいたとしたら……
これは理不尽と言うべきや?
「リゾットは熱いに決まっているというのは貴方の思い込みでは?」
というのは是か非か果たしてどちらでしょうw
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(冷蔵庫で冷やす時間は含めていません)-
- ご飯:1膳分
- 塩鮭:一切れ
- 玉ねぎ:1/8個
- ドライパセリ:適宜
- 粉チーズ:適宜
[スープパート]
- トマトジュース(できれば食塩無添加):200g(200ml)
- コンソメスープの素(顆粒):4g
【作り方】
- 塩鮭はグリルでこんがり焼いて皮と身を分離します。身は骨を取って粗くほぐします。皮は耐熱皿に入れて電子レンジの500ワットで1分チンしてカリカリにしキッチンバサミで粗く刻みます。
- 1.をやっている間に玉ねぎは微塵切りにしてまな板の上に広げ10分空気に晒します。
- ボウルに[スープパート]を合わせて泡立て器で1分しっかり混ぜ込みます。これに
- ご飯、鮭の身、玉ねぎを加えてよく和えます。これをボウルごと冷蔵庫に入れて冷やします。
- 3.を器に盛って粉チーズを振り鮭の皮、ドライパセリを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 世にも珍しいキンキンに冷えたリゾットです。黙って出せば意表を突けること請け合い。一口食べたらだれだって「え?」って顔になりますよ。
- 市販のトマトジュースを使うことでリゾット本体は火を使わずに仕上げる手順にしてみました。鮭を焼いている間に他の準備を整えれば段取り良く作ることができます。
- 鮭の切り身の大きさや塩加減、ご飯の量などによって味にぶれが生じ易い料理です。工程3.で冷蔵庫に入れる前に必ず味見をして味を調えてください。冷えると味が薄く感じられるので心持ち濃い目の味付けにするのが吉です。
- 鮭の代わりにツナ缶や茹でたささみを使っても美味しく作れますよ。