サラダという料理は結構歴史が古くて古代ギリシアやローマの文献にも出て来るそうです。
けど、それはかなりレアなケースで野菜自体料理は長いこと肉や魚料理の添え物、おまけ的な扱いを受けていたようです。
そもそも温室栽培が発明されるまでは収穫時期が限定的なので1年のうち夏の1カ月程度しか食べられないものだったらしい。
日本では更に後進的でそもそも人糞を肥料にして野菜を育てていた畑は生食するには衛生面で心配、加えて心理的にもちょっとハードルが高かった模様(確かにそこここで見かける畑の匂いを嗅いだら洗ったくらいでは生で食べようとは思わなかったかなw)
明治以降、洋食が一般化していっても長らく野菜料理は火を通した温野菜で戴くものという通念は払しょくできず、生野菜を使ったサラダが普及したのは進駐軍がもたらした化学肥料と農薬による栽培法が当たり前になってからのことだそうです(ま、やり過ぎてその化学肥料や農薬の弊害が叩かれる歴史に突入するのですが)。
そういう背景があるからか未だに昔ながらの居酒屋のメニューでサラダなどの生野菜を扱ったものはかなり希少です。
お品書きに並んでいる野菜料理は煮物、焼き物、そうでなければお漬物というのが定番じゃないでしょうか。
その点、チェーン店の居酒屋などはやや先進的で何種類ものサラダをそろえているお店も少なくありません。
けど、かくいう僕も居酒屋に来て肴に生野菜を使ったサラダを頼むのはどうよと思っている節があり、敢えて注文することはまずなし。
なかなか保守的な嗜好だなとこのコラムを書きながら気づきました。
けど、世の中には火を通さないと食べられない野菜さえサラダにしてしまう発想の持ち主がいたりもするのです。
その代表選手はポテサラですね。
ジャガイモを茹でて潰してマヨネーズを和えるそんな手の込んだ料理をよく思い付いたものだと感心します。
でも、その発想がありならば他の野菜の煮物だって少し味付けを変えればサラダになるのでは? そんな風に考えてネットを検索。
和食の煮物の定番とばかり考えていた冬瓜を使った面白い料理を見かけたのでさっそく作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 冬瓜:100g
- 梅干し:一粒
- ポン酢醤油:18g(大匙1)
- 鰹節:ひとつまみ
【作り方】
- 冬瓜を茹でる湯(分量外)を沸かします。冬瓜は種とワタを取って皮を厚めに剥き5mm厚の小口切りにします。湯が沸いたら冬瓜を加えて中火で5分茹でます。茹で上がったらざるに揚げて流水で冷まし、更に氷水に浸けて急冷します。
- 1.をやっている間に梅干しは果肉をそぎ取って細かく叩きます。これにポン酢を加えてよく和えておきます。
- 1.をざるに揚げて水気をよく切り、小鉢に盛り付けます。これに2.を回しがけ鰹節を載せればできあがり。
【一口メモ】
- できれば冷蔵庫で冷やしてから戴きましょう。キリッとした酸味と鰹節の旨味が舌の上で踊る夏のごちそうになります。
- ポイントは鰹節。グルタミン酸とイノシン酸のうまみ成分が味の奥行きを広げて料理のグレードを一段引き上げてくれます。
- お好みで炒り胡麻を振ると風味が香ばしくなってまた美味しいです。あと、水で戻したわかめを加えれば皿がボリュームアップしますよ。
- 冬瓜の代わりに白瓜を使っても美味しくできます。素揚げした茄子を使うのも良し。生食になりますが薄く切ったトマトを使えばハイカラなサラダになります。