ポルトガルの民話に「石のスープ」というお話があります。
飢えた旅人が村にたどり着いてとある民家の戸を叩き食べるものをめぐんでほしいと求めます。
けれど、与えるものは何もないと断られてしまいます。
旅人は一計を案じて道端の石を拾ってきて再び戸を叩きます。
「これは煮ると絶品のスープができる石なんだ。
鍋と水だけ貸してもらえないだろうか」家人は興味を惹かれて鍋と水を用意します。
「この石もだいぶ使い古したからちょっと味が薄いな。塩を少々加えるとぐっと味がしまるんだが」
ただのお湯の味を見るふりをしながら旅人はそう言います。
家人は塩を出してやります。
同じ要領で旅人はもったいを付けながら小麦と野菜と肉を出させます。
すっかり旨い味に仕上がったスープを飲んで家人は感動します。
旅人は礼だと言ってその石を置いて去って行ったのでした。
なんか落語の「まんじゅうこわい」に似た根っこを感じさせるお話ですね。
過日、大根があと2センチほど残っていてどう料理しようかと考えているときにこの民話を思い出しました。
もちろん大根は石と違って食べられるので無から有を作っているわけではないのですが大根という素材だけも調味料やスパイスやかつおの旨味を借りれば美味いスープが作れるじゃんという好例だと思います。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 大根:2cm
- 鰹節:ふたつまみ
- 水:200g(カップ1)
- コンソメスープの素(顆粒):4g
[スパイスパート]
- クミン(パウダー):少々
- クローブ(パウダー):少々
- ブラックペッパー:少々
- ナツメグ:少々
[仕上げパート]
- 水溶き片栗粉:3g分
【作り方】
- 小鍋に水とコンソメスープの素を合わせて強火にかけひと煮立ちさせます。待っている間に大根はかつら剥きにして7mm厚のいちょう切りにします。
- 1.の小鍋に大根、鰹節、[スパイスパート]を加えて蓋をし、弱火で10分煮込みます。
- 2.に[仕上げパート]を加えてとろみを付ければできあがり。
【一口メモ】
- インスタントっぽい作りですが数種のスパイスが風味を複雑にしてスープのグレードを高めてくれています。あっという間に作れるのも嬉しいところ。
- ハムやベーコンを加えることも考えましたが旨味をより引き出すには鰹節の方が合っていると思います。
- お好みで人参、蓮根、ごぼうなどの根菜を加えると更にゴージャスなスープになりますよ。