豚肉をよく食べる沖縄の言葉にこんなのがあります。
「豚は鳴き声以外は全部食べられる」
要は全部食べられるという意味の言葉なのですが実際、しっぽですら煮込んでテールスープにして戴くとか。
要は
「もったいない」
という思想に基づくものだと思うのですがそれは
「食材を捨てるなんてもったいない」
というやや消極的なものではなく
「そんな美味しいところを捨てるなんてもったいない」
という食い意地の張ったより積極的なもったいない思想のようです。
普通は捨ててしまいそうな部位もその美味しさを知っている人からすれば
「なんてもったいないことをするんだ」
とストップをかけたくなる──なんてことは案外あるようです。
例えばかぼちゃの種。
ワタと一緒に捨ててしまう人が多いと思いますがあれは栄養分の塊です。
その小さな粒に詰まった実の成分を吸収して芽吹くのですから当たり前といえば当たり前。
実はパンプキンシードと呼ばれてお店やネットで結構な高値で売られていたりするものなのですよ。
用途は炒って殻を剥いて食べたりお菓子にしたりもします。
あるいは鰻の骨。
僕のよく行く魚屋さんでは20尾分くらいのパックが50円くらいで売られています。
なかなか誰も手を出さないようでいつもぽつねんと棚に残っているのを僕は嬉々として買って帰るのですがこれは低温の油で根気よく素揚げにすると最高に旨いツマミになります。
150度で30分くらいかな。
骨はもろくなってお煎餅のようにパリパリ食べられます。
これに塩や粉山椒などを振るとお酒が進む進む。
同じような理由で海老の殻も捨てるにはもったいない部位です。
海老自体けっこう良いお値段がするのであまり買わないのですがそれでも買った限りは最大限利用しなければもったいない。
何より海老の殻みたいに最高に旨い出汁が挽ける部位を捨てるなんて罰が当たるくらいもったいない。
ということで剥いた殻はビニール袋にストックして冷凍保存してあります。
で、たまにこんな麺料理が食べたくなった時に活躍してもらっているのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:23分-
- 蕎麦:1束
- 刻み葱:少々
[出汁パート]
- 海老の殻:20尾分くらい
- 鰹出汁:500g(カップ2.5)
- 酒:50g(カップ1/4)
[餡パート]
- [出汁パート]で挽いた出汁:150g(カップ3/4)
- むきエビ:数尾
- なめこ又はしめじ:数本
- 蕎麦の本返しまたはめんつゆ:小匙1
- おろし生姜:ひとかけ分
- 水溶き片栗粉:9g分
[つゆパート]
- [出汁パート]で挽いた出汁:残り分
- カットトマト:70g
- 塩:2g(小匙1/3)
- 蕎麦の本返しまたはめんつゆ:小匙1
【作り方】
- 小鍋に[出汁パート]の海老の殻を入れて弱火にかけ2分ほど色が赤く変わるまで煎ります。これに[出汁パート]の残りを加えてひと煮立ちさせ蓋をせずに弱火で10分煮出します。これを裏ごし器などで濾して出汁のベースにします。
- 蕎麦を既定の通り茹でて流水で〆ます。
- 2.と並行して[餡パート]の水溶き片栗粉以外を小鍋に合わせて強火にかけます。これに水溶き片栗粉を少量ずつ加えていきとろみを付けます(とろみを付けている間火は止めません)。 ※水溶き片栗粉は一度に加えるとダマになるので小さめのスプーンなどで掬って少量ずつ加えて都度よく混ぜましょう。
- 2.、3.と並行して[つゆパート]を鍋に合わせてひと煮立ちさせておきます。
- 丼に蕎麦を入れて4.を注ぎその上から3.を水面に載せるように盛り付けます。仕上げに刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- ゴリゴリに挽いた海老出汁の香りがたまりません。やっぱ海老の殻を捨てるなんてもったいない! と思える一杯です。
- つゆにはトマトの酸味を餡にはおろし生姜の清涼感を加えて二層構造にしてあります。最初は別々に口に入れて楽しみ最後はざっくり混ぜて生姜とトマトのコラボを満喫してください。
- お好みで柚子胡椒やおろし山葵をトッピングすると良いアクセントになってまた楽しいですよ。
- 蕎麦をうどんにしても美味しくいただけます。変わったところでは中華麺を使うと上品なラーメンとしても楽しめますよ。