新婚の頃の話。
「ちらし寿司には何を入れるか?」
で僕と嫁に大きなギャップがあるのに驚いたことがあります。
ま、食文化は家の数だけあるものですから共同生活を始めたばかりの頃には如何にもありそうな話ですね。
「お刺身買ってこなくっちゃ」という嫁に僕が「なんで?」と訊いたのが発端だったと思います。
君のご実家のちらし寿司ってどんなのと訊ねると寿司飯の素を混ぜ込んだご飯に色々なお刺身が載った料理だと宣う。
「それって限りなく海鮮丼に近いのでは?」
と言いたくなりましたがそれで20年暮らしてきている人にそれを言っても始まらない(笑)
ちなみに僕の実家のちらし寿司の具材は椎茸の旨煮、人参の甘煮、酢蓮根、煮含めた高野豆腐、錦糸卵など地味なおかずのオンパレード(けどひとつひとつはめっちゃ手間がかかります)。
魚介類と言えば刻んだ焼き穴子くらいといった田舎のおばあちゃんが作りましたといった感じの料理だったのです。
お互いに「ええ」「あり得ない!」と言い合って家によってこうも違うとは──とそのギャップを面白がりました。
けどお店で出すのなら嫁の実家バージョンのちらし寿司の方がお客は喜ぶでしょうね。
うちの実家のやつは食べればわかる人にはわかる味わい深いものですが見た目が地味。
金払って出てきたのがこれかよって思われそうな気がします。
お店で食べる料理は時に見た目の豪華さや皿単価アップのためにその料理の本質から外れた演出をされることもあります。
酢豚にパイナップルを入れるのも当時は珍しくて高価だった南国のフルーツで欧米人の度肝を抜いてやれという意図だったと聞きます。
日本で食べるスパゲティ・カルボナーラに本場イタリアでは使わない生クリームを使うのも味をクリーミーにするというより皿単価アップを狙ってんじゃね?
なんて僕は疑っておりますw
けどまあ、それでお客が「さすがお店の料理」「お値段だけのことはある」と納得して喜んでくれるのなら茶々を入れる筋合いではないですよね。
で、今日の料理。
海鮮冷やしうどん──と聞いて出てきたのがこのうどんだと「なんか違う」と思われちゃうかなとか想像してにやにや笑いながら作りました。
けどね、具材は竹輪の磯部揚げ、ワカメ、刻み海苔。
どれも海産物ばかり。
看板に偽りありとは言えますまいw
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(もろもろ冷やす時間は含めていません)-
- うどん:乾麺1束または生麺1玉
- 竹輪:1本
- 揚げ油:適宜
- 具材:乾燥わかめ、刻み海苔など海鮮系のもの
[磯部揚げの衣パート]
- てんぷら粉:10g
- 青のり:小匙1
- 水:14g(14ml)
[つゆパート]
- 鰹出汁:240g(240ml)
- レモン果汁:10g(小匙2)
- 蕎麦の本返し:大匙2
【作り方】
- [つゆパート]を丼に合わせて冷蔵庫でよく冷やしておきます。具材に乾燥わかめを使う場合はこのタイミングで丼に入れておきます。[磯部揚げの衣パート]も器に合わせてよく混ぜ、冷蔵庫で冷やしておきます。
- うどんを規定時間茹でます。茹で上がったら流水で〆、氷水の入ったボウルに入れてきっちり冷やします。
- 2.と並行して揚げ油を170度に温めます。待っている間に竹輪を縦半分に切り皮の側に数か所浅く包丁目を入れてから[磯部揚げの衣パート]をまぶします。脂が温まったら片面1分半揚げて揚げあがったら油をよく切ります。
- 2.のうどんをざるに揚げてしっかり水切りをし1.の丼に投入します。3.と具材をトッピングしてできあがり。
【一口メモ】
- 海産物の中でも磯の香りが強い海苔をふんだんに使って風味よく仕上げました。海老や鯛を使っているわけではないけれど間違いなく海産物のオンパレード。意外に旨いので気に入っています。
- うどんのつゆにはレモン果汁を加えて爽やかな風味に仕上げました。手持ちがあれば生のレモンを絞ると酸味の鮮烈さが格段に上がるのでぜひやってみてください。
- うどん屋に天ぷらのトッピングを置いてあるお店が多い理由はいろいろあるようですが(作り置きができるからとか)ひとつにはつゆにコクが出るからと聞いたことがあります。逆に衣につゆを吸った竹輪の磯部揚げもまた絶品。相乗効果というやつですかね。