阪神尼崎駅そばに巨大なアーケード街があります。
僕は勝手に「尼崎商店街」通称アマショーなんて呼んでいますが正式には南北に伸びた三和本通商店街と東西に伸びた中央商店街を中心に複数の商店街が合体してできたお買い物天国です。
諸物価高騰のこのご時世にとんでもない廉価で食料品が売られているのがなによりの魅力。
たとえば野菜や茸などは100円でお釣りが来る商品が多数。
卵も10個入りで100~120円くらい。
お肉は1000円あれば牛、豚、鶏のアイテムが一通り揃うという破格値だったりします。
この商店街の魅力はそれだけではなく飲食店の多彩さにもあります。
好きなおかずを選んで定食にできるシステムで2品600円、3品750円の洋食屋さんとか。
遠くからわざわざ食べにくる人がいる炒飯がウリの中華飯店とか。
ラーメン、串カツ、和洋中のお店など目白押しで目移りしてしまいます。
中にはちょっと面白い専門店もあります。
その名も「尼崎焼そばセンター」──
焼きそばに特化したお店で常時29種類の焼きそばが楽しめます。
それ以外にも例えば冬場なら季節限定の「牡蠣フェア」(当然主力は牡蠣焼きそば)などをやっていたりするんですよね。
他所でもパスタの専門店はいくらでも見かけます。
ハンバーガーショップは言うに及ばずうどんや蕎麦もどこの駅にでも立ち食いのお店があってそれなりに多彩なメニューが楽しめます。
しかし、焼きそばだけで29種類というのは凄い。
だってちょっと想像してみてください。
パスタの専門店なら見た目もカラフルなパスタソースを合わせて華やかなメニュー表が作れます。
けど、焼きそばですよ。
ひたすら茶色一色。
メニュー表の写真を見てもどれも同じように見える気が……、あ、けっしてディスるつもりはなくて単なる感想です。
で、気になったので過日ランチタイムにお邪魔してみました。
メニュー表を見ると──王道の豚肉以外にホルモン焼き、シーフード、油かす焼きそばなど、なるほど鉄板焼きで作れそうな料理をトッピングする路線の皿が並んでいます。
トマトチーズにガーリックといった洋風路線。
すき焼き焼きそばに明太チーズといったどこの郷土料理?
って聞きたくなるような皿。
更にチーズカレー、シーフードカレー、ホルモンカレーといった基本メニューの味をカレー味に変えたもの。
そっかメニュー同士を組み合わせていけばあっという間に30種類くらいはできそうですね。
多彩なメニューの秘密の一端を垣間見ました。
けど、当たり前ですがただ単に複数のメニューを混ぜ合わせただけでは味が破綻する恐れがあります。
料理を合体するに際してはそうとう苦労して味の調整をしたんじゃないかなと思い至り焼きそばという料理の可能性を探求し続けた料理人さんに畏怖を覚えました。
その日は牛ホルモン焼そばを注文して美味しく戴いたのですが他にも気になるメニューがたくさんありました。
ということでアレンジ焼きそばの自作に挑戦。
中でも気になった「タンタン焼そば」を想像力を膨らませてレシピを組んでみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:9分-
- 焼きそば:1玉
- 豚バラスライス:30g
- キャベツ:2、3枚
- サラダ油:12g(大匙1)
- (あれば)花椒:適宜
- 黒ごま:適宜
- 辣油:適宜
[タレパート]
- 焼き肉のタレ:27g
- 豆板醤:6g(小匙1)
- すりごま:小匙1
【作り方】
- 焼きそばは耐熱皿に入れて電子レンジの500ワットで1分チンします。豚バラは食べやすい大きさに切ります。キャベツは千切りにします。[タレパート]を合わせてよく混ぜておきます。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油を入れて強火にかけ豚バラ、キャベツを加え肉の色が変わりキャベツがしんなりするまで炒めます。これを一旦皿に取ります。
- 2.の中華鍋を洗わずにそのまま使います。これに焼きそばを入れて中火で1分いじらずに焼きます。焼きそばをひっくり返して更に30秒いじらずに焼きます。
- 3.に豚肉、キャベツをもどして[タレパート]を回しがけ絡ませながら水気がほぼなくなってきたら花椒を振ってざっと混ぜ火を止めます。
- 4.を皿に盛って黒ごまを散らし、パスタにタバスコを振りかける要領でラー油を振りかけて戴きます。
【一口メモ】
- 辛味が旨い! 担々麺など辛い麺好きな人にはたまらない一品です。ラー油のごま油の風味が良いアクセントになっています。
- [タレパート]はいろいろな調味料を合わせて複雑な味を作る方法も考えたのですが焼き肉のタレ一本で味付けする方式を採用しました。市販の焼き肉のタレはとてもよくできているのでこれを使うだけで十分複雑な風味が作れるのです。
- 食感を楽しみたかったので具材に豚バラスライスを使っていますがより担々麺風に寄せるのであれば豚ミンチを使うのもありです。
- 工程3.で焼きそばをいじらずに焼いていますがこの手順を踏むとところどころ焼きそばがカリカリに焼けて美味しいんですよ。