うどんと蕎麦ではどちらの歴史が古いかと言えば圧倒的にうどんだそうです。
時代劇などでは江戸の庶民が立ち寄る店と言えば屋台などの蕎麦屋のイメージが強いですが江戸時代初期の頃には江戸の町も圧倒的にうどん屋の方が多かったとか。
では「ざる蕎麦」と「ざるうどん」はどちらが古いかというと──これは圧倒的に蕎麦。
ざるうどんが誕生するのは太平洋戦争後のことですが蕎麦は江戸の昔からざるというかセイロの上に載って出されるものだったのです。
これはそれぞれが使っている?の原料の特性の差によるものなんですね。
うどんの原料の小麦はグルテンで粉同士が繋がっていってまとまるので茹でても麺の形状を保てます。
それに比べてそば粉は繋がらないので茹でたらバラバラになって麺料理じゃなくなっちゃう。
なので最初は麺を蒸して提供していたのだとか。
蕎麦が今でもセイロの上に載っているのは蒸し料理だった頃の名残なんだそうです。
蕎麦を茹でられるようになったのは蕎麦につなぎとして小麦粉を添加する手法が発明されてから。
その配合はいろいろですが小麦粉2に対してそば粉8の二八蕎麦が有名ですね。
料理の生い立ちはともかくも夏になると冷たいものが食べたくなるのが人情。
熱いつゆに浸かっている麺料理より冷水で〆てざるに載せられた麺の方が食欲をそそります。
江戸の昔なら地下深くからくみ上げた井戸水で冷やすのがせいぜいだったのでしょうけど21世紀の今は冷蔵庫を開ければ簡単に氷が使える世の中。
ひんやり具合もひとしおなのです。
とあるランチタイム。
文明の利器のありがたみを感じながら22世紀の僕らの子孫は21世紀に供されるこの料理をどんな風に思うんだろうなとか考えていました。
その頃には今の僕らでは思いもつかない料理がテーブルに並んでいたりするのかしらん。
それを食べながら「令和の昔にはね……」なんて言ってたりするのかしらん。
なんて──冷蔵庫のあり合わせで作った冷やしうどんを食べながらそんなことを考えていた午後のひとときでした。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- うどん:1玉(乾麺なら1束)
- 牛肉しゃぶしゃぶ用:100g(豚肉しゃぶしゃぶ用でもOK)
- 大根:1cm
- 炒り胡麻:適宜
[つゆパート]
- 蕎麦の返しまたは麺つゆ:大匙2
- 牛肉の茹で汁:15g(大匙1)
- 水:15g(大匙1)
- 梅干し:1粒
【作り方】
- 小鍋に肉を茹でる湯(分量外)を沸かして肉をしゃぶしゃぶの要領で軽く茹でます。これをざるに重ならないように並べて粗熱を取ります。肉の茹で汁は大匙1杯分、[つゆパート]に加えます。
- うどんを茹でる湯(分量外)を沸かします。待っている間に[つゆパート]の梅干しの果肉をそぎ落として包丁で細かく叩きます。[つゆパート]の残りの材料と合わせてよく混ぜ冷凍庫に入れて急冷します(凍らせないよう注意)。
- うどんをパッケージに記載された時間より心持ち長め(1分程度)に茹でて流水で粗熱を取ります。更に氷水に浸けてしっかり冷やします。並行して大根の皮を剥きすりおろしておきます。
- うどんをざるに揚げて水気を切ります。これを皿に盛り付けお肉、大根おろしをトッピングします。上から[つゆパート]を回しがけて炒り胡麻を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 冷たい麺類はその温度だけでも暑い夏のごちそうです。加えて梅のさっぱり風味、大根おろしの辛味、お肉のボリューム感。ちょっと贅沢なランチタイムが過ごせますよ。
- [つゆパート]
- にお好みで酢(5g(小匙1)~15g(大匙1))を加えると酸味が強化されてキリッとした風味が楽しめます。
- お肉はしゃぶしゃぶ風に仕立ててみましたが例えば鶏の胸肉またはささみを茹でて細かく裂いたものを載せても美味しいですよ。冷蔵庫の手持ちと相談して作ってください。
- トマトやきゅうりなどの夏野菜を加えればサラダ感を演出することもできます。いろいろ栄養も摂れますのでぜひお試しあれ。