串カツ、鍋──世の中には使う食材を選ばない料理があります。
たとえば串カツの変わり種といえばカマンベールチーズ、アボカド、アイスクリームなんてのはまだかわいらしい方で(そうか?)、バームクーヘン、饅頭なんてのもあるとかw
鍋料理も冷蔵庫の中身なら肉でも魚でも野菜でもなんでも合っちゃいますよね。
同じように天ぷらも大概なんでも揚げ種にできちゃいます。
そもそも江戸の昔、売れ残った魚を捨てるのももったいないから切り身にして衣を付けて揚げたのが天ぷらの始まりだったてな話もあるくらいです。
客たちはつゆに浸した衣の味がお目当てで中身はあまり気にしなかったのかも。
その衣ですが今とはずいぶん違ったらしい。
今、衣に使っている薄力粉がアメリカから輸入されるようになったのはずっと後の時代の話で、江戸時代に使われていたのはうどんなどにも使われる中力粉。
グルテン含有率が高いのでもっとねちょっとした感じの衣になったはずです。
それを分厚くまぶすのでその食感はサクサクではなくザクザクだったらしい。
更に粉の精製技術が未熟だったので胚芽などが含まれた全粒粉に近いもので独特の匂いがあったはず。
良く言えば素朴、悪く言えばチープな食べ物だったんだろうな。
けど、江戸前の天ぷらはごま油で揚げていたそうなのでそのチープさが胡麻の良い香りとマッチして僕らの知らない別の食べ物だったんじゃなかろうか──なんて夢想してしまいます。
てなことを考えていたらお腹が減っちゃいました。
ということで、週末立派な大羽イワシを手に入れたのでとりあえずは今風の天ぷらにして戴きました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- いわし:2尾
- 揚げ油:適宜
[衣パート]
- (市販の)てんぷら粉:15g
- 水:22g
【作り方】
- [衣パート]を平たいめの器に合わせてよく混ぜ冷蔵庫で冷やしておきます。 ※衣に使う水はパッケージに記載の量(24g)よりやや少なめにするのがおススメです。
- いわしのエラ蓋に包丁の刃先を入れてそこから頭を落とします。腹に包丁を入れていきワタを引っ張り出して外します。ある程度包丁で開いたらあとは手開きします。
- 中骨を頭の方からつまんで梳くようにして外します。流水で血を洗い流しキッチンペーパーで水気を切ります。揚げ油を170度に温めます。
- 揚げ油が温まったらいわしの両面に[衣パート]をたっぷり付けて揚げ油に投入します。片面2分、両面をからりと揚げればできあがり。
【一口メモ】
- 揚げたてがめっちゃ美味しい。青魚が苦手な人でもこれなら食べられるかも。食べ方は天つゆがおススメですが塩もイケます。
- 普通のイワシでも良いのですが大羽イワシを使うと齧った時の豪快さがひとしおです。
- 衣を卵と粉から自作する場合は卵1個に対して水1カップ(200g)、薄力粉140gを合わせます。ただ量が多すぎるので我が家では通常、市販のてんぷら粉を使っちゃっていますね。
- ちょっと邪道かもしれませんが天つゆにどっぷり浸けてそのまま冷蔵庫で冷やして食べると南蛮漬けっぽくてまた美味しいですよ。