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厨房日誌

宴とパーティー

畳に座って呑むお座敷スタイルだからなのか、はたまた民族性の違いなのか。この国の宴会と映画などで観るアメリカやヨーロッパのパーティーって同じ酒席のはずなのにがらりと雰囲気が違います。

言ってしまえば、日本の宴会って天岩戸の前でアメノウズメノミコトのストリップを囲んで神様が盛り上がっていた頃のスタイルから毛筋ほども変わっていない気がするんですよね。

省みて、映画の中のホームパーティでは男も女もしゃんとした服装をしていて酒も飲んでいるのですがあくまでも会話を楽しんでいる感じ。

歴然とした無秩序と秩序の差を感じます。

そういえばハリウッド映画のパーティーシーンで酔った課長が女子社員に絡んでるなんてシーンは観たことがないよなぁ(ま、登場人物にぐでんぐでんになられてはストーリーが進まないのですが--;)

僕は日本の宴会スタイル自体は嫌いではないですが曲解された無礼講は大嫌いです。

酔ってたから仕方がない、酒の席だから仕方がないと暑苦しい理屈を押し付けてくる昭和的発想。

そんな言い訳や屁理屈で、部下を罵倒したり、女性に抱きついたり、とにかく誰かを嫌な気分にさせる酒席ほど嫌なものはありません。

高校の頃に通っていた予備校の英語の先生が欧米のホームパーティのルールについて解説してくれたことがあります。

まず、出席者全員の心得として知っておくべき会話のタブー。

この3つの話題にはけっして触れてはいけないという不文律があるそうです。

  1. 政治の話題
  2. 宗教の話題
  3. talking about shop

1.と2.とはわかりやすいですよね。下手したら血の雨が降ります。

3.は「店について話す」という意味ではありません。この文節の解説から先生はパーティーの雑談を始めたのですが、これは慣用句で「仕事の話をする」と訳します。

ほぼ間違いなく、自慢話か愚痴になりますし、同じ職種じゃなければ聴いていても「ふーん」としか言いようがない話題だからです。

日本人に徹底的に欠けているのはこのtalking about shopに対する禁忌感だと想うんですよね。

実際、僕の部下にもいましたが「酒の席でくらい仕事の愚痴を言わせて下さいよ」なんて平気で言う。

それ聞かされて呑む酒が旨いと思うか? と言ってやりたかったです(大人げないから止めましたが)。

その上で、ホストとホステス(招待主の夫婦)は招待客に楽しんでもらうためにしっかり事前調査を行います。

どんな料理を好むのか、どんな趣味を持っていてどういう話題が好きなのか、どういう話は嫌いなのか。

それに基づいて料理を差配し、当日は特定の誰かばかりがしゃべっていないように、寡黙な客にも水を向ける気配りをするのだそうです。

高校時代に聞かされたこの話は40年近く経った今も僕の中で活きていて、1/29のブログに書いたように僕が宴会の幹事をやるのなら気にかけるポイントになっています。

なので、僕は未だに無礼講を旗印にしたような宴会への出席は苦手です(それも仕事ですから出席はしますけど)。

本格的なグローバル社会の幕が開けたばかりのこの国ですが、宴会のスタイルもあちらのパーティの良いところを吸収してより良く転換していってくれると良いなぁとしみじみ思います。

けど、時流は宴会を忌避してプライベートを楽しむ方向にベクトルが向いているし、そもそもこの国から宴会がなくなっていく方が早い気もするなぁ。

2020/02/05 Wed.

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