僕の料理のルーツは製菓です。
おかずなどの調理にも興味があったのですが実家は祖母、母、妹2人と十分過ぎるくらい女手が足りていて出る幕がなかったんですよね(って、「女手」なんて言葉は久しく聞いたことがないなぁ。イマドキの職場なら●●ハラとか言われてバッシングされそうw)。
加えて大正生まれの祖母が「男子厨房に入るべからず」を地で行く人で僕が台所に立つことを嫌ったというのもあります。
そんなこんなで結婚して実家を出るまで僕は主として洋菓子を作ることに傾注しておりました(って、やっぱり料理するんじゃんw)。
ある時、知人に結婚記念日向けにショートケーキをワンホール作ってほしいと頼まれたことがあります。
「秋らしいイメージでお願い」
なんて我儘なリクエストを戴きましたっけ。
確かその結婚記念日が秋だったのです。
秋らしいフルーツをたっぷり使ってトップには落ち葉風のオーナーメントをあしらいたいと図面を引きまして特に手製するオーナメントにはいろいろ知恵を絞りました。
チョコレートの枯れ葉は本物の植物の葉を洗って乾かしたものにテンパリングしたチョコレートを塗って冷やし固めて作りました。
形もそうですが葉脈がむちゃくちゃリアルに再現できて良い感じだったな。
同じように枯れ落ちた松葉をあしらいたくてあるものを素揚げにして再現しました。
そのあるものとは……そうめんなのです。
そうめんを高めの温度で30秒ほど素揚げすると余熱で茶色く色づきます。
それをポキポキと折れば松葉っぽく見えるという。
しかもそうめんって意外に塩分を含んでいますので甘いスイーツの良いアクセントになりました。
世の中には「この食材はこの料理にしか使えないと」先入観を持たれているものがいろいろあります。
けどいろいろ調べていくと「実はこんな使い方もあった」と新しい発見をすることがある。
それもまた料理を勉強する楽しみのひとつだと思います。
例えば餃子や春雨の皮が余ったら間にミートソースなどを挟んでラザニアにするなんてアイデアは目から鱗でした。
餅を牛乳(または豆乳)で煮てホワイトソースにするというのもナイス。
バターも薄力粉も使わずに餅が溶けることで良い感じにとろみが付きます。
茹でてつゆに浸けながらつるつる啜るだけ。
肉などの餡を包んで焼いたり揚げたりするだけ。
オーブントースターで焼くか雑煮にするだけ──
そんな風に思われていた食材がまさかの魔改造できてしまうとは!
なんか誰かに言いふらしたくなりますよねw
けど逆に「この料理にしか使えない」という思い込みから抜け出せないと、うっかり食材をダメにしてしまうことも往々にしてあります。
僕にとって白菜はそういう野菜で「鍋料理に使うもの」という思い込みから長い間脱却できずにおりました。
けどそうそう鍋なんて頻繁に囲みませんし気が付けば冷蔵庫の野菜室の底でしなびていたなんてことも一度ならずあったなぁ。
なので鍋以外の使い方を探るべく時々こうやっていろいろな白菜料理を試作して引き出しを増やしていっているのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:9分-
- 白菜:1枚
- 山芋:3cm程度
[調味料パート]
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- ごま油:4g(小匙1)
- 刻み海苔:適宜
- 炒り胡麻またはすり胡麻:適宜
【作り方】
- 山芋は断面に大き目のフォークを指してコンロの直火で皮目をまんべんなく炙って火を通します(炙った直後は熱くなっているので火傷に注意)。山芋が冷えたら皮付きのまま7mm角の拍子木に切ります。
- 白菜は7mm幅の小口切りにします。これを耐熱皿に入れてラップをかけ串で2、3箇所穴を開けて電子レンジの500ワットで1分チンします。白菜が冷めたら水気を絞ります。
- ボウルに[調味料パート]を加えてよく和えればできあがり。
【一口メモ】
- ごま油の香りを軸にしたおつまみ的小鉢料理です。一口食べれば「あ、アジアンテイストだ」って思っちゃうこと請け合い。お酒がめっちゃ進みますよ。
- 山芋は焼いて皮ごと使うと香ばしい風味が楽しめるだけでなく皮下の栄養が高い部分もしっかり食べられるのでおススメなのです。
- 味のポイントは業務スーパーで売っていた「金の鶏だし」。めちゃ旨くて最近ハマっています。
- 手持ちがあれば刻み海苔の代わりに韓国のりを使うと更にナムルっぽくなります。