つい昨日のことのように思えるのに──というフレーズで始まる語りの内容はだいたい何十年も前の昔話と相場が決まっています。
年を取るほど1年が経つのが速く感じられるとよく言われますがそれは年を取って忘れっぽくなっただけじゃないかなと僕は思っています。
小学生の頃でも還暦間際のおっさんでも1年が365日であることに変わりはありません。
ただその年に起きたこと、経験したことの大半を忘れちゃってるから歯抜けになった記憶を振り返ると1年が10日くらいで終わったように錯覚しているだけじゃないかしらん。
とまれ、つい昨日のことのように思えるのですが……
僕が社会人になった1988年ははるか昔になってしまいました。
あの頃はインターネットはまだ商用化されていなくて、Windowsもこの世にはなくて、携帯も動画配信もなくて──それでも普通に暮らしていたよなぁと振り返って思います。
観たいドラマはVHSで録画して、新作のファミコンソフトの発売日を心待ちにして、週末は合唱団の練習後にファミリーレストランでだべったりなんかして、夏になれば学生時代の友人と屋上ビアガーデンで乾杯したりもしました。
2023年の今のような生活はなかったけど逆に今ではなくなってしまったものがいっぱいあって日々の生活を楽しんでいました。
おそらく今から30年後、2053年頃に2023年を振り返ったら「●●がなくてよく生きていけたよなぁ」なんて大仰に言っているんでしょうね。
歴史は繰り返すのです。
インフラやカルチャーは時代によって変わり続けるわけですがそれを楽しめるかどうかはあくまでも自分次第。
そしてその時代、その時代の面白いものを楽しんだ方が楽しいじゃん、なんて当たり前のことを思ったりするのです。
僕が新入社員だった頃にはインターネットも検索エンジンもありませんでしたから、この料理の元となった回鍋肉(ホイコーロー)のレシピを手に入れるのも困難でした。
でも今は夕飯時に「回鍋肉が食べたい!」と思ったら一瞬でレシピが手に入るのです。
ネット文化ばんざい!
なぁんて思いながら「今夜は進化系回鍋肉で乾杯」なんて言っているあたり、ちゃんと2023年を楽しめているなと独り言ちております。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- 豚バラ肉(焼き肉用):150g
- キャベツ:4枚くらい
- 揚げ油:適宜
[調味料パート]
- 焼き肉のタレ:18g(大匙1)
- 梅干し:1個
- 酢:3g(3ml)
【作り方】
- 揚げ油を中華鍋に入れて180度に温めます。キャベツを1枚ずつ3~4等分します。豚バラ肉を食べやすい大きさに切ります。[調味料パート]の梅干しは種を取り実をよく叩きます。これに[調味料パート]の残りの材料を合わせてよく混ぜておきます。
- 揚げ油が温まったらキャベツを投入し30秒素揚げしてすぐに引き上げてよく油を切ります。油をオイルストッカーにしまって中華鍋はそのまま洗わずに使います。キャベツの粗熱が取れたらざく切りにします。
- 2.の中華鍋を中火にかけて豚肉を入れ肉の色が変わるまで炒めます。これにキャベツと[調味料パート]を加えて絡めるように炒め、水気がほぼなくなったらできあがり。
【一口メモ】
- この料理の原型は中華料理の豚バラキャベツ炒め「回鍋肉」です。ただ、梅肉と酢を加えてあるのでさっぱり風味。食欲が落ちる夏場に特におススメの1品ですよ。
- キャベツなどの野菜類を高温の油で短時間揚げてから炒め物にするとしゃきっとした書簡が楽しめます。中華料理の「油通し」という技法なのですがこのひと手間をかけると仕上がりが断然違ってきますよ。
- 揚げ鍋やフライヤではなく中華鍋でキャベツを素揚げしてそのまま豚肉の炒め工程に使うことでサラダ油を追い足さなくて済みます(油が十分、鍋に馴染んでいます)。そして洗い物が一つ減るのも嬉しいところ。
- 焼き肉のタレは万能調味料なのであれやこれや調味料を合わせなくてもこれ一本でお肉を美味しくする味付けになります。めったに焼き肉をしないご家庭でも焼き物、煮物に重宝しますので常備しておくと助かりますよ。
- お好みで小口切りにした鷹の爪か豆板醤を加えればピリ辛にできます。投入するのは工程3.の肉を入れる前。弱火で香りが立つまで炒めてからお肉を加えて中火にしてください。