僕が生まれる前からうちの実家では年末におせち料理を作るのが恒例行事となっていました。

僕が物心ついた頃にはそれが当たり前の年の瀬の風物詩になっていてその伝統を引き継ぐべく毎年僕もおせち料理を作るようになったという次第。
しかし、生意気なことを言っちゃいますが……
「伝統的なおせち料理というのは地味!」
子供心にそう思っておりました。

なんといっても黒や茶色い料理が多すぎて華やかさに欠けるなぁなんてね。
美味しければ見てくれなんてどうでも良い。
まして胃に入ってしまえば同じこと──なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが料理にとって色目はとても大事なのです。
鮮やかな赤、緑、白などは華やかで食欲を掻き立ててくれます。

それに反して黒や茶色はどうにも食欲を減衰させる気がするのですよね。
いや「気がする」だけじゃなく実際に脳の働きが減衰するようにできているのでしょう。

カラフルなスイーツに熱狂する女子が多いのもうなずける気がします。
ということで自分でおせち料理を作るときは色目を気遣います。
類似食の料理が並ばないように盛り付けに気を配ります。
地味な色の品は派手な色目のアクセントを添えて目でも楽しめるように工夫を凝らします。

2024年のおせち料理は中華、エスニックにちょっと力を入れたかったので定番のくらげの酢の物は外せないなと思っておりました。
けど作ってみると……
地味!この料理を知らない外国の人が見たら「コレモタベラレルノデスカ?」なんて訊いてきそう。
そんな外国の人が見ても思わず箸を(フォークを?)伸ばしたくなる料理にならないか──そんな風に思案していて思い付いたのが秘密兵器カニカマの登板だったのです。

細く裂けば紅白のストライプを演出することができるカニカマはまるでお正月のためにあつらえたような食材。
味がそれほど変わるわけではないのですがこれを和えるだけでぐぐっと華やかな品に変わりました。
【材料】(2人分)
-調理時間:35分-
- きゅうり:1本
- 塩クラゲ:1パック(45g)
- カニカマ:1パック(65g)
- 炒り胡麻:適宜
- [調味料パート]
- すし酢:大匙1
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 砂糖:4g(小匙1強)
- ごま油:12g(大匙1)
- 練り辛子:小匙1/2
【作り方】
- 塩クラゲはたっぷりの水(分量外)に30分浸けて塩抜きします。
- 1.をやっている間にきゅうりは塩もみをしてまな板の上に菜箸で挟むように置き真横に2mm間隔の切り目を入れます(菜箸に刃先が当たるので切り落とすことはありません)。これをひっくり返して今度は斜めに2mm間隔で切り目を入れます。これできゅうりは蛇腹に切れます。カニカマを細かく裂いておきます。[調味料パート]は合わせてよく混ぜておきます。
- 1.のクラゲをしっかり水切りし(サラダ用の水切り器があれば使うことをおススメします)、きゅうり、カニカマと器に合わせます。これに[調味料パート]をまわしがけてよく和えます。仕上げに炒り胡麻を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 定番おせち料理ですが美味しいです。おせち料理は濃い味のものが多いので口の中をさっぱりさせて舌をリセットしてくれる役割も担っているんですよ。
- [調味料パート]の味の要は砂糖の分量。味を見ながら少しずつ加えて好みの加減を探ってください。あと、辛子が良い感じのアクセントになります。
- カニカマは色目が紅白になっているのでおせち料理を華やかにしてくれる便利なアイテムです。ちょっと地味だなぁと思う料理があればこれをトッピングするだけで見違えるようにお正月っぽくなりますよ。

