いわゆる酒呑みの舌というものがあるように僕は思います。
シラフだったら好もしくない料理、ましてや下戸の人なら避けて通る料理の中には酒を呑みながら食べることで「旨い」と感じるものがあるようなのです。
例えば塩辛や酒盗は下戸の人にとっては臭くてたまらない内臓料理だと思います。
ところが日本酒の肴にするとその匂いがたまらなく癖になるんですよね。
天皇の料理番と呼ばれて大正から昭和にかけて宮城の厨師長を務めた秋山徳蔵さんがパリに渡って修行を始めた時に最初に苦労したのはフランス人の味覚だったそうです。
日本人の感覚からしたら塩辛すぎる味付けに馴染めず「なんでこんな味を旨いと思うんだろう」と悩んだとか。
まかないを食べながらそんなことを考えていてふと周りを見ると皆、ワインを飲みながら食事している。
水より安くて手軽に手に入るからという理由なのですが食事をする際にはワインを一緒に飲むのが当たり前という彼らの食習慣に思い至ったのです。
「フランス人はワイン込みで料理を楽しむからこの味付けなんだ」彼が導き出した答えはそれでした。
そうしてフランス人好みの味を覚えていったとか。
料理だけでなく食べる食材も酒を飲むことで広がることがあります。
砂肝なんて夕飯のテーブルにはなかなか供されない部位じゃないかな。
僕自身、子供の頃には食べた覚えはなく、焼き鳥屋に通って初めて知った味でした。
けど、あの独特の食感と臭みは慣れるとヤミツキになります。
しかも、もも肉や胸肉よりバリエーションの守備範囲も広いのです。
更に、亜鉛、ビタミンB12、鉄分が豊富なので栄養満点でいうことなし。ただし、プリン体も多めなので食べ過ぎには要注意。
1日に100gくらいまで焼き鳥なら2本が適量だそうです。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- 砂肝:2粒
- ピーマン:半個
- サラダ油:少々
- ごま油:2g(小匙1/2)
[調味料パート]
- 鶏がらスープの素:2g
- 水:50g(50ml)
- 濃い口醤油:6g(小匙1)
- 酒:5g(小匙1)
- 豆板醤:3g(小匙1)
- はちみつ:7g(小匙1)
- おろしにんにく:1かけ分
- おろし生姜:1かけ分
- 片栗粉:3g(小匙1)
【作り方】
- 砂肝は3mm厚に薄くスライスします。ピーマンは細切りにします。[調味料パート]を合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ砂肝を加えて焼き色が付くまでしっかり目に炒めます。
- 2.にピーマンと[調味料パート]を加えて絡めながらとろみが付くまで炒めます。仕上げにごま油を加えてさっと混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- ちょっと濃い目の味付けですがしっかり中華料理していて美味しいですよ。冷めても食感が変わらないのでお弁当のお菜にもオススメです。
- 中華料理では料理名に単に「肉」と書くと豚肉を指すのでこの料理は「青椒肉絲」とは呼べません。なので「風」を付けました(砂肝を指す漢字はPCでは変換できないのだ)。
- 手持ちがあれば甜麺醤、豆鼓醤を少し加えると風味が複雑になってより本格的な味が楽しめます。
- 野菜類は他にもネギ、もやし、細切りにして茹でた人参、キノコ類(椎茸、しめじなど)などをありあわせで加えるといろいろな栄養素が摂れますよ。