異色のグルメファンタジー「異世界居酒屋のぶ」にこんなエピソードがありました。
店の入り口が中世ヨーロッパ風の異世界につながって開業も危ぶまれた店は幸い異世界の客たちで賑わいます。

けれど大将は悩みます。
「客たちは見たこともない食材や料理の珍しさに惹かれているだけじゃないだろうか。やがて、飽きられてしまうのじゃないだろうか」
自分が修行した料亭の味にどこまでこだわるべきか、客たちの好みにどこまで沿うべきか。
その2つの想いの間で心が揺れて確固たる軸が持てないと悩むのです。

そこへかつての師匠、料亭の板長がふらりと店に顔を出します。
「味に迷いがあるな。けど、ええ迷いや。お前は俺が教えた殻を破ろうとしている。今が一番大事な時期やで」
大将の料理を口にした板長はそう言って励まします。

その板長が付け出しに出されたタコを使って「作ってみろ」とその場で大将に作らせたのがアヒージョでした。
和食一辺倒だった板長の口からスペイン料理の名前が出たことに大将は驚きましたが出来上がった料理は今まで店で出した料理とは一線を画する味でした。
「いろいろ試してみるこっちゃ。お客さんに育ててもらいながらな」
この一件以来、大将の料理は和食へのこだわりが取れて少しフリーダムになっていった気がします。

そんなエピソードを振り返りながらちょっと変わった食材でスペイン料理のアヒージョを作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:10分-
- 豚ハラミ:200g
- にんにく:ひとかけ
- 鷹の爪:半本
- イカの塩辛:大匙1
- オリーブオイル(炒め用):12g(大匙1)
- オリーブオイル(煮込み用):20g(大匙1.5)
[調味料パート]
- 塩:ひとつまみ
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- 豚肉は5mm厚にスライスします。にんにくはみじん切りまたはスライスします。鷹の爪はキッチンばさみで小口切りにします。種も一緒に炒めちゃいましょう。
- フライパンにオリーブオイル(炒め用)とイカの塩辛を入れて中火にかけて1分ほど炒めます。これににんにく、鷹の爪を加えて弱火にし、香りが立つまで炒めます。
- 2.に豚ハラミを加えて中火にし、肉の色が変わるまで炒めます。
- 3.に[調味料パート]を加えてざっと混ぜ、オリーブオイル(煮込み用)をふりかけて蓋をします。弱火で3分煮込めばできあがり。
【一口メモ】
- イカの塩辛のクセのある生臭さが香りの柱となってにんにく、オリーブオイル、ハラミの臓物臭さを上手にまとめてくれています。和の材料を使っているのに味はしっかりスペイン料理。異国情緒あふれた一皿に仕上がりますよ。
- この料理では並行作業はほとんどありませんので手を止めないことが段取りのコツ。次に何をするか常に考えながら手を動かしましょう。
- アヒージョはオリーブオイルの味と香りも楽しむ料理です。使う量はケチらずたっぷり使ってください。案外しつこくない風味に驚きますよ。
- 本場スペインのアヒージョではアンチョビを使いますが手持ちがなかったので晩酌用のイカの塩辛をシェアしました。もちろん、アンチョビがあればそれを使ってもOK。風味が違ってどちらもオススメかな。
- あれば茹でるかレンチンしたじゃがいもを加えるとボリュームアップします。
- 豚ハラミはかなり変化球な食材で手に入りにくいかも。近所で売っていなければ定番のタコなどの魚介で作ってみてください。

