美味しんぼに出てくる海原雄山(主人公の父親)はわかりやすく言うと星一徹を美食家にしたような人物です。
特に作品初期の頃は「こんなまずいものが食えるか」と言ってすぐちゃぶ台をひっくり返すようなことばかりしていました(だんだんキャラが形成されていくに従って人徳者として描かれるようになるのですが)。
特にフレンチレストランのお披露目パーティーに呼ばれていながら定番の鴨の血のソースを退けてわさび醤油で食べるという暴挙は大人げないにもほどがありましたね。
主人公はその暴挙に対して鰹の刺身をマヨネーズで食べて見せて「日本料にだって絶対はない。わさび醤油で食べるものとみんなが思いこんでいる刺し身だってこんな食べ方もできるんだ」と示してみせます。
あれは100%主人公の主張が正しかったと思います。
刺し身に限らずある種の食材はこうやって食べるものという固定観念が強いものがあります。
例えば豆腐は醤油をかけて鰹節を載せて食べるもの(要は冷奴ですね)それ以外の食べ方なんて思いつかないと思われていた時代がありました。
けど、衣を付けて揚げた揚げ出し豆腐が考案されたり、水抜きをして焼いてステーキソースで戴く豆腐ステーキが考案されたりしてその固定観念は払拭されました。
ご飯だってお茶碗に盛ってそのまま食べるかせいぜいおにぎりに握るくらいだったものが「醤油を塗って炭火で炙ったらどうだろう」と考えた人が焼きおにぎりを発明し、コンビニエンスストアが先導して今までにない具材のおにぎりを考案して、更にグラタンの具材にするドリアという洋食も生まれました。
さて、今うちの冷蔵庫には豚ヒレ肉のブロックがあります。
けっこう大きな塊だったので半分に分けて先日、ヒレカツを作りました。
そう、豚ヒレといえばやっぱヒレカツでしょと僕の中にも固定観念があるのです。
けど、残りをまたカツにするのはなんか芸がないなと思いましてヒレ肉の新しい食べ方を模索すべくこんな料理を作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:160分-
- 豚ヒレブロック:200g
- オリーブオイル:少々
[調料味パート]
- 塩(豚肉の1%の重量):2g(小匙1/3)
- ブラックペッパー:小匙1/2
- おろしにんにく:ひとかけ分
【作り方】
- 豚ヒレ肉に[調味料パート]をまぶしてジップロックに入れ空気を抜いて風をします。 ※ジップロックの口にストローを挿して封をし、中の空気を吸い出すときれいに空気が抜けます。
- 1.を炊飯器に入れてひたひたの湯(分量外)を注ぎます。保温モードにして2時間半そのまま置きます。 ※お湯はやかんから湯気が出始める程度で火を止め沸騰させないようにしたものを注ぎます。
- フライパンにオリーブオイルを入れて強火で熱します。これに豚ヒレ肉を入れて各面40秒程度炙ればできあがり。粗熱を取ってから肉をカットして戴きます。 ※肉が熱いうちにカットすると肉汁が流れ出てしまうので必ず冷ましてください。
【一口メモ】
- 豚ヒレは元々柔らかい部位ですが低温で時間をかけて火を通すことで更に柔らかに仕上がります。しかも身がぱさつかずしっとりとした食感はたまりません。
- ヒマはかかりますが炊飯器に放り込んだら後は放置プレー。できあがりを待つ間に外出だってできてしまう楽ちんな料理ですよ。
- ソースはステーキソースや焼肉のたれでも美味しいですが市販のドレッシングを使ってサラダ風に戴くのもありです。その際はせっかくなので葉野菜やトマトなどと合わせましょう。
- ドレッシングのチョイスは酸味の強い醤油系や青じそなどさっぱり系のものがオススメです。