昔、生まれた子供に「悪魔」という名前を付けたいと出生届を出したお父さんがおりました。
それを不適切であると行政が受理しなかったことで騒動になりましたっけ。
俗に「悪魔ちゃん命名騒動」と呼ばれる一件です。
僕の記憶ではもっと最近の話なような気がしていたのですが今調べると1993年のできごと。
もう30年以上前の話なんですね。
光陰矢の如しです。
確かに「悪魔」なんて名前を付けられた子供はいい迷惑ですが僕的にはお父さんの気持ちもちょっとわかる気がするのです。
世の男性は多かれ少なかれ「ちょい悪」とか「悪漢、悪党」に憧れを抱く心理──ピカレスクロマンめいたものを持ち合わせていると思うのです。
泥棒や詐欺師を主人公にした物語が作られるのもそんなダークヒーローに憧れる人が多いからでしょう。
人名はさておき名前に悪魔が付いた事物は意外と存在します。
例えばタスマニア島に生息するフクロネコの一種に「タスマニアデビル」という名の動物がおります。
名前の由来はゾッとするような叫び声やうなり声をあげるので移住してきたヨーロッパ人は「ブッシュの中に悪魔がいる」と想像したからだとか。
あるいは南メキシコやグアテマラ原産で「デビルズハンドツリー」というのがあります。
春から初夏にかけて赤い花を咲かせるのですがその花の形が人間の手の形に似ていて悪魔が手招きをしているように見えるからだそうです。
そして──料理の世界にも悪魔を冠するものがあったりします。
その名も「ディアブルソース」。
ディアブルとはフランス語で悪魔を指す言葉、英語だとデビルにあたる単語かな。
日本語に訳すと悪魔風ソースといったところです。
ブラックペッパーや粒マスタードを使った刺激的なソースでピリッと辛いところが悪魔と呼ばれる由来らしい。
鶏肉のグリルなど肉料理によく合うソースです。
世に悪魔を冠する名前の事物はその見た目や特徴が由来になっているものが多いのですがそれ以外にもう一系統「悪魔」と呼ばざるを得ない一群があります。
それは「悪魔的」な特徴、発想を持つもの──分かり易い例で言うと真夜中に食べるラーメンなどは悪魔的な食べ物の好例でしょう。
「こんなん食べたら太るに決まっているやん」
と思いつつ衝動が抑えられずついついすすってしまう一杯。
まさに悪魔の名にふさわしい料理です。
ネットで見かけたこの小鉢料理も同じことが言えましてじゃがいもにツナ缶(しかも煮汁ごと)を1缶まるごと突っ込んで更にマヨネーズをプラス。
それだけでも十分悪魔的なのに更に天かす、鰹節、青のりとジャンクなアイテムがてんこ盛り。
こんなん悪魔的に美味しいに決まってますやん──なんて考えた人がいたのでしょう。
「悪魔風」なんて冠が名前に付けられておりました。
【材料】(3串分)
-調理時間:20分-
- じゃがいも:中1個または小2個
- ツナ缶:1個
- 天かす:大匙1
- かつお節:ふたつまみ
- 青のり:適宜
[調味料パート]
- マヨネーズ:12g(大匙1)
- 蕎麦の返しまたはめんつゆ:15g(大匙1)
【作り方】
- じゃがいもは皮を剥いて1.5cm程度の角切りにします。これを耐熱皿に入れてラップをかけ電子レンジの500ワットで3分チンします。 ※ラップには串で2、3ヶ所穴を開けておきましょう。
- 1.をボウルに入れてツナ缶を汁ごと加えます。そのまま10分ほど放置して粗熱を取ります。
- 2.のボウルが触ってみても熱くない程度に冷めたら[調味料パート]を加えてよく和えます。 ※マヨネーズは温度が低い方が絡みが良くなります。
- 3.に天かす、かつお節を加えてざっくり混ぜます。お好みでじゃがいもを少し潰しながら混ぜてもOK。これを器に盛って青のりをかければできあがり。
【一口メモ】
- 味付けはマヨネーズとめんつゆのみ。めっちゃシンプルなのにやみつきになって箸が止まりません。いわゆる無限系と呼ばれる料理の一品だと思います。
- もちろんおかずにもなりますが食べているとビールがほしくなります。やっぱりおつまみだよなこれ。
- 青のりは焼き海苔を適当にちぎって混ぜ込んでもOK。そちらの方が風味が際立ちます。更に細く切った塩こんぶを足すと旨味もプラスされますよ。
- お好みで七味唐辛子、わさび、柚子胡椒、すり胡麻などを加えて風味を変えても楽しいです。