中島らものエッセイで食通というか食通ぶる人を批判した話を読んだ覚えがあります。
こんな感じの論調でした。
──例えば鎌倉の老舗の蕎麦屋に入って「葱の味が落ちた」なんて嘆く人がいる。
本人は「俺は蕎麦だけでなく葱の味の善し悪しまでわかる鋭敏な味覚の持ち主なんだ」とでも言いたいのだろうがそれを口に出して言うのはいかがなものか。
ましてや雑誌などに投稿して声高に喧伝するのは論外。
それで店の売り上げが落ちたらどうするつもりなんだろう。
第一その店の蕎麦が大好きで「ああ、やっぱりここの蕎麦は美味しいな」なんて思っている人がヤな思いをするじゃないか。
その店の料理が口に合わなかったとしても黙って店を出て二度といかなければ良いだけの話だと思う──至極まっとうな意見で僕も激しく同意します。
そもそも人が作ってくれた料理を旨いまずいと評すること自体おこがましいのです。
しかもこの例でディスっているのは料理以前の話。
店が仕入れてきた葱が良くないと言っています。
「こんなのは本物の●●じゃない」
なんていう文句は美味しんぼのような創作物の中だけにして戴きたいと言いたくなります。
そりゃお金を積めばもっと良い葱は手に入るかもしれません。
けどその分皿単価が上がります。
お店の人は常に仕入れ値と味のクオリティ維持のはざまで戦い続けているのです。
その苦労に思いを馳せる想像力があったらたかだか葱の味ごときに文句は言えますまい。
って、さっきから何を一所懸命予防線を張ろうとしているかというと……
そりゃ、しゃぶしゃぶ用の上等な牛肉を買って来れば美味しいしゃぶしゃぶをお手軽に食べることはできます。
けどその分お財布が苦しくなる。
そんなお肉に比べたら味が落ちるかもしれないけれど格段に安い牛こまを使っても手間と工夫次第で美味しいしゃぶしゃぶは楽しめるんですよ──
てなことを主張したくて長い前振りを入れました(笑)
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 牛こままたは牛もも肉:100g
- 大根:2cmの輪切り
- 刻み葱:大匙2~3
[調味料パート]
- ポン酢醤油:15g(大匙1)
- ごま油:6g(大匙1/2)
【作り方】
- 大根はざるの上にすりおろして軽く水気を切っておきます。[調味料パート]は合わせてよく混ぜておきます。
- 牛肉を茹でる湯100ml程度(分量外)を沸騰させます。待っている間に牛肉を1枚ずつにバラします。
- 牛肉を1枚ずつ湯に投入ししゃぶしゃぶの要領でさっと茹でて順次ざるに揚げて粗熱を取ります(牛肉同士が重ならないように注意)。
- 牛肉を深皿に盛り大根おろしを載せて[調味料パート]を回しがけます。刻み葱をたっぷり散らせばできあがり。食べる際はよく混ぜ合わせて戴きましょう。
【一口メモ】
- ポン酢のさっぱり風味とごま油の香ばしい風味は良く合います。大根おろしとお肉を交互に食べるといくらでも食べられそう。
- 「牛しゃぶが食べたいな」と思ったのですが手持ちは安いこま切れ肉。けどね、こま切れでもお肉はお肉。根気よく1枚ずつバラして茹でればしゃぶしゃぶ風に作れるのです。お酒を飲みながらつまむなら別に高級肉じゃなくてこれでも良いじゃんとか思いましたw
- 葱はこれでもかというくらいまぶすのがおススメ。葱の風味が際立って葱好きにはたまりません。
- お好みで七味唐辛子など振りかけてピリ辛に味変するのも良きですよ。