「こんなのすき焼きじゃない」
映画「ALWAYS続・三丁目の夕日」の中のセリフです。舞台は昭和30年代半ばの東京下町。
親戚の娘を預かることになった町工場の女将さん(薬師丸ひろ子)は奮発して豚肉のすき焼きを振る舞うのですがお嬢様育ちの姪っ子はそう言っていきなり拒絶するんですよね。
物語が進むにつれてやがて彼女もすっかり下町暮らしに溶け込んでいきましたっけ。
けど、実際にはすき焼きって地方色が濃く出る料理で土地によっては豚肉のすき焼きが当たり前のところもあるようです。
僕の郷里の神戸では「鶏すき」なんて言葉も聞いたことがあったな。
「この料理にはこの材料を使う」という固定観念に囚われるとアレンジの自由度はぐっと下がってしまいます。
一度、頭の中を真っさらにして料理の構成要素をバラしてみましょう。例えば肉じゃが。構成要素は4つ。
お肉、じゃがいも、玉ねぎ、煮汁が組み合わさってできています。
ここからはパズルゲーム。
お肉は普通、牛肉を使うけど鶏肉を使ったらどうだろう。
じゃがいもを里芋煮してみたら。
玉ねぎを青菜(青梗菜とか)にしてみたら?
煮汁をコンソメスープや中華スープ、カレースープにしてみたら……
アレンジの自由度は無限に広がっていきます。
こうしてこの料理は生まれました。
【材料】(2人分)
-調理時間:12分-
- 鶏胸肉:半枚(約150g)
- じゃがいも:中サイズ2個または小サイズ3個
- 玉ねぎ:1/4個
- サラダ油:少々
- 水:材料がひたひたになるくらい
[調味料パート]
- 醤油:27g(大匙1.5)
- 砂糖:12g(大匙1+小匙1)
【作り方】
- 鶏肉は食べやすい大きさに切ります。じゃがいもは皮を剥いて1.5cm角のさいの目に切ります。玉ねぎは櫛形に切ります。
- 小鍋にサラダ油を入れて中火にかけ鶏肉と玉葱を入れて肉の色が変わるまで炒めます。これに[調味料パート]を加えて1分ほどしっかり炒りつけます。 ※この工程ではまだ水は入れません。
- 2.にじゃがいもを加えて更に1分炒りつけます。材料がひたひたになるくらいの水を加えてひと煮立ちさせます。
- 3.の小鍋に蓋をして弱火で7分煮て火を止めます。蓋を取って粗熱を取ったらできあがり。
【一口メモ】
- 牛肉を使った肉じゃがよりあっさりしていて僕は好きかも。ただ、肉の味が淡白なので味付けは濃い目にしています。お好みで醤油と砂糖を加減してください。
- 調理のポイントは煮る前に調味料で炒めて具材にしっかり味を染み込ませておくこと。そうすると煮込み時間を最小限に抑えられるのでじゃがいもが煮崩れることがありません。
- 鶏胸肉はクセのないお肉なので煮汁をカレー風味にしても馴染みそうです。中華スープにして卵でとじるなんてのもありだな。