昭和30年台、食糧事情が良くなってきたとは言えまだまだ地味で粗末な食生活だった時代。
流行りの洋画を観た人達は銀幕に映し出される華やかなパーティーに憧れたものです。タキシードやドレスで着飾った男女。豪華な食事にお洒落なカクテル。その1シーン、一人の女性が骨付きの鶏肉にかぶりつくのをじっと見つめる男性がおりました。
旨そうだな──普通の人ならそう思っても映画館を出れば記憶の底に沈めてしまうもの。けれど、彼はちょっと違いました。
「よし、俺も作ってみよう」。
試行錯誤の末に完成した骨付鳥の炙り焼きは香川県丸亀市で売り出されました。
お店の名は「一鶴(いっかく)」。あれから60年、気が付けば一鶴の鶏は全国に名を知られるようになり、僕が住む横浜にも駅前に店があります。
僕は父方の里が香川で丸亀にも親戚がおりましたので実は子供の頃(昭和40~50年台)には一鶴の味は馴染みになっていて大ファ
ンでした。特に噛みじまりのある親鳥が好きですね。
で、40年くらいの遅れ馳せなのですが、「よし、俺も作ってみよう」と思い立って作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(漬け込む時間は含めていません)-
- 鶏骨付きもも:1本
- おろしにんにく:ひとかけ分
- サラダ油:12g(大匙1)
[シーズニングパート]
- 塩:3g(小匙1/2)
- 味の素:少々
- テーブル胡椒:大匙1/2
【作り方】
- [シーズニングパート]を器などに合わせてよく混ぜておきます。
- 骨付きももにおろしにんにく、サラダ油を手で刷り込むようにしてまぶし、更に[シーズニングパート]を同様にしてまぶします。これを1昼夜冷蔵庫で寝かせます。
- オーブンを230度に予熱します。天板にクッキングシートを敷いて鶏肉を並べ片面10分ずつ、20分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- 頬張ろうとすると真っ先に胡椒の匂いがむあっと鼻をくすぐって「はよ齧り付け」と催促されます。で、かぶりつくと肉の旨味、にんにくの香り、塩の辛味が渾然一体となった天国的な旨さが口に広がるのです。
- スパイスは胡椒のみとシンプルなレシピですので特に塩は良いものを使って下さい。
- 味の素を使うかは好みの分かれるところですが両方試してみるのをお薦めします。
- 一鶴風じゃなくなっちゃいますが、セロリの葉を始めとした香味野菜とスパイスを利かせて漬け込んでも美味しいですよ。
- 作る手間は1本でも5本でも変わりません。できれば大人数まとめて作ってみんなでビールでも飲みながらワイワイやると楽しいかも。