僕は大学時代に男声合唱団のサークルに所属していました。
ある時、音大の先生を客演指揮者として招いて演奏会をやるという機会があったのですが歯に衣着せぬもの言いをなさる豪快な方で彼の練習は結構楽しかった覚えがあります。
ある日の練習でその先生がこんな爆弾発言をされました。
「音楽にプロなんて本当はいないんだよ」
いやいやいやプロの指揮者のあなたがそれを言っちゃう?
と訊きたくなりましたが続けてこうおっしゃったのです。
「巧いかヘタがあるだけ」
……なるほど。
アマチュアの音楽家がそれを言っちゃうとただの遠吠えにしか聞こえませんが音大で指導をなさっている先生が言うと言葉が重いなと感じましたっけ。
確かにプロ野球のような極端に狭き門ならプロとアマは歴然と違うと言えますが音楽のような世界ならプロと言ってもピンキリですしアマチュアの中にもプロを凌駕するような演奏テクニックを持った人もいそうです。
かくいう僕が在籍していたSEの業界もそれで飯を食っている人は日本に何十万人もいるわけですがその全てが精鋭のエンジニアかと問われれば首を縦には触れないよなぁと顧みて思います。
料理の世界も同じことで店を構えるとなればいろいろな免許や資格が必要でしょうけど単に料理をするだけであれば本来プロもアマもなくて
「巧いかヘタがあるだけ」
なのかもしれません。
そして「そういうことはプロにしかできない」と僕らが思い込んでいることも案外「練習すれば誰でもできる」ことが多いのかもしれない。
なんて思ったりもします。
魚を捌いてお刺身を造る。
酢〆にする。
なんてことも「そういうのは板前さんしかできないこと」と思いがちですがスーパーによってはバックヤードで普通の主婦がやっていたりするものなのです(実は僕の妹がけっこう長いことやっています)。
釣り好きな人の中には魚を捌ける人も多いですよね。
その方たちも普段はただのサラリーマンだったりするのです。
イマドキはYOUTUBEなどで分かり易く解説してくれている動画も出回っていますので臆せずトライ!
できるようになると案外楽しくなったりするものです。
新鮮なコノシロが手に入ったらぜひこんな料理のも挑戦してみてくださいな。
【材料】(2人分)
-調理時間:80分-
- コノシロ:2尾
- 塩:適宜
- 穀物酢:適宜
【作り方】
- コノシロはうろこ取りで(なければ包丁の背で)尾から頭に向けて擦ってうろこを落とします。 ※うろこはけっこう飛び散るのでシンクの中で作業するのがおススメです。
- エラ蓋の後ろから包丁を差し込んで前後に刃を動かしながら切り進めて頭を落とします。更に腹の際(きわ)5mmくらいを切り落とし内臓を露出させます。腹に指を突っ込んで内臓を引き出し終わったら流水で体内をきれいに洗います。
- 頭の側から包丁を入れて中骨に沿って包丁を進めて3枚におろします。キッチンペーパーに包んで水分を拭きとります。生姜は千切りにします。
- 3.に強めに塩を振り冷蔵庫で30分置きます。終わったら流水で塩を洗い落としキッチンペーパーで水気を拭きとります。
- 小ぶりのバットに4.を並べて半ば浸かるくらい酢を流しいれ上からラップをかけて圧着します。これを冷蔵庫に入れて30分漬け込めばできあがり。 ※ラップで圧着することで少量の素でもまんべんなく漬けることができます。
【一口メモ】
- すっきりした味わいの酢漬けでいくらでも食べられる気がします。そのまま食べても良し。ポン酢やわさび醤油を付けても美味しいですよ。
- 冷蔵庫で保存すれば1週間程度は保ちます。コノシロは比較的安価な魚ですのでたくさん作って作り置きしておけば晩酌が楽しくなります。
- トーストに山葵とバターを塗ってコノシロの酢漬けを挟めば酢漬けのサンドイッチとしても楽しめます。意外性があるだけでなくパンとの相性もばっちりなんですよ。