大阪は天神橋筋六丁目。
商店街のアーケードから外れる小さな路地に面して「杜氏屋」という日本酒バーがあります。
日本酒ブームの影響で近頃は地酒や純米酒をウリにする居酒屋も増えてきましたがこの店は一味違います。
カウンターの向こうに並んでいる酒はどれも見たことのないものばかり。
それもそのはずオーナーが日本中の酒蔵を訪ねて行って非売品を仕入れて来ているのです。
そのせいか常連の中にはただの酒飲みではなくプロの居酒屋店主も多いと聞いたことがあります。
ある時、そこのカウンターで晩酌を楽しんでいたところ、えらくガタイの良いおじさんが隣に座りました。
バーテンさんとの会話でその方は本職の漁師さんだと知りました。
話の成り行きからその方の持ち込んだマグロの心臓の刺し身をお相伴させて戴く展開になったのですが……美味しかった。
塩と胡麻油で戴いたそれはさすがに大きな魚の心臓。
弾力のある噛み締りには回遊魚の力強さを感じました。
マグロと言えば刺し身をすぐに思い浮かべてしまいますがまるごと解体すれば刺し身にできない部位も出てきます。
内蔵然り、心臓然り(鮮度が良くないと食べられないらしい)、当然アラと呼ばれる部分も残ります。
マグロのアラはたまに魚屋さんやスーパーで見かけますがべらぼうに安いです。
けっこうなボリュームで100円とか200円で売られているんですね。
アラは流石に生では食べられないので火を通す必要があるのですが目先を変えてこんな揚げ物にするという手もあったりします。
【材料】(2人分)
-調理時間:70分-
- マグロのアラ:300g
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 薄力粉:適宜
- 卵:1個
- パン粉:適宜
- 揚げ油:適宜
【作り方】
- 水を張ったボウルにマグロのアラを入れて冷蔵庫で寝かせます。15分したら水を替えて再び冷蔵庫へ。これを4回繰り返します。 ※この血抜きの作業をしないと臭みが出て味を損ないます。
- マグロをボウルから取り出し、キッチンペーパーで表面の水気を拭き取ります。揚げ油を180度に温めます。
- 油が温まるのを待つ間にマグロを一口大に切って塩、ブラックペッパー、薄力粉をまぶします。これを溶き卵にくぐらせてパン粉を付けます。
- 3.を温まった油に入れて3分揚げればできあがり。
【一口メモ】
- 身が柔らかく口の中でほぐれていきます。血抜きをしっかりしたので生臭さもなし。トンカツとはまた別の味わいです。
- 血抜きの工程がちと面倒に感じますが冷蔵庫に入れればあとはほったらかしなので在宅している日ならさほど煩わしさは感じません。あとは普通にカツを揚げるのと同じ要領ですね。
- マグロのアラはあまり出回りませんがとても安いお値段が付きます。トンカツよりカロリーが低くヘルシーなのでオススメですよ。
- 味付けはとんかつソースでも良いのですがシーフードなのでタルタルソースが良く合います。