手のひらを反す──という慣用句は「今までの態度を一変させること」「それまでと反対の評価をすること」というほどの意味ですが、言外に「どの口が言うか」という揶揄が含まれている気がします。
「お前、さっきまであんなに反対してたやん」といった感じ。
当事者として巻き込まれたら「やってられっか」と思っちゃいますが傍で見ている分には面白いので物語のコメディ要素としてよく取り扱われるシチュエーションだったりします。
吉本新喜劇でもヤクザがお金で買収しようとした時に「俺が金で転ぶとでも思っとんのか」と啖呵を切っておいて次の瞬間、コロンと寝転ぶのはお約束だったりしますw
深夜アニメでもよく見かける場面で「テノヒラクルー」なんてネットスラングがあるくらいです。
その発展形で態度を二転三転させる様は「テノヒラクルックル」なんて言われたりしますね。
反面──過ちては改むるに憚ること勿れなんて言葉もあります。
自分が間違っていたと気付いたら外聞など気にせずに訂正しなさいという戒めですが、こういったケースではもちろんテノヒラクルーは悪いことではありません。
けど多くの場合は自分の中に確固たる物差しを持っていなくて他人の物差しで物事を判断しようとする人が引き起こすネガティブな行為だと思うのです。
前振りが長くなりましたがメヒカリの話です。
メヒカリは正式名称をアオメエソと呼ぶ相模湾から宮崎県あたりまでの広い海域で獲れる小さな魚です。
静岡県沼津産が有名で土地の言葉ではトロボッチと呼ばれるそうです。
かつては店で買うものではなく漁師さんから分けてもらう雑魚みたいな扱いだったのですが希少性から高級魚に祭り上げられました。
それまでは
「けっ、トロボッチかよ」
なんて言っていた人たちが急に
「旨いなぁ。これ、高かったんだぜ」
なんて言い出すのはまさにテノヒラクルー。
舌が(物理的に)二枚あるのかと思う変貌。
ホント、吉本新喜劇を見ているみたいです。
何が言いたかったかというとそんなメヒカリが1パック198円で売られていたのです(16尾も入っていました)。
「安っ」と思って買って帰って唐揚げで戴いたのですが旨かった──そう、値段とは関係なしにメヒカリは旨いのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:16分-
- メヒカリ:8尾
- 塩、ブラックペッパー:少々
- 片栗粉:適宜
- 揚げ油:適宜
- ポン酢醤油:適宜
【作り方】
- メヒカリの尾から頭に向かって包丁の刃先をこするようにして鱗を落とします。 ※力を入れすぎないように優しくそぎ落としてください。
- エラ蓋の下に包丁の刃先を入れて頭を落とします。菜箸を1本頭の切り口から尾の方に向けて差し込みます。ワタが押し出されてきますのでもう1本の菜箸とで挟んで引っ張り出します。
- 揚げ油を160度に温めます。待っている間に2.の体内を流水できれいに洗ってキッチンペーパーで水気をふき取ります。これに塩、ブラックペッパーを軽く振り片栗粉をまぶします。
- 揚げ油が温まったらメヒカリを加えて160度の低温で7分揚げて一旦引き上げます。揚げ油を180度に温めて再度メヒカリを投入し1分揚げれば出来上がり。
【一口メモ】
- 身が柔らかくクセがないのでいくらでも食べられそうです。脂の乗った魚なので味付けはさっぱりしたポン酢がおススメ。
- 揚げ方のコツは低温でじっくり揚げて高温で二度揚げすること。表面はサクサク、中はしっとり仕上がります。しっかり火が通っているので骨まで食べられますよ。
- 塩焼きも美味しいのですが骨を取るのがちと面倒。その点、唐揚げや天ぷら、南蛮漬けは骨を気にせず食べられるので楽ちんです。
- メヒカリの一番美味しい食べ方は刺身だと思うのですが活きが良くないと造れません。そこは素人判断せず魚屋さんにお刺身OKか訊いてみてから試しましょう。