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魚料理(和食)

さごしの胡麻照り焼き

僕がSEになりたてだった1980年代後半。

コンピュータの世界はペーパーレスとは程遠い様相を呈していました。

あの頃のコンピュータシステムは稼働させるだけで凄まじい量の印刷物を輩出する仕組みだったんですよね。

例えば工場から搬出する製品をトラックのドライバーに指示するのは出荷伝票と呼ばれる紙。

工場の生産計画表も工程表も紙。

プログラムの実行ログも紙。

A4やB4用紙がずっとつながった連続帳票と呼ばれる用紙に印刷されていました。

つなぎ目はミシン目になっているのでどこでも切りたいページで切れるという仕組み。

今なら全部スマホの画面に表示させるんでしょうけどそんなものが影も形もない時代でしたからプログラムのアウトプットと印刷物は同義という時代でした。

そんなわけでコンピュータのマシン室にはいつでも大量の廃棄予定の連続帳票がうず高く積まれておりました。

この連続帳票に思わぬ使い道があることを知ったのは入社してから半年くらい経った頃でしたでしょうか──ある朝出社してマシン室の電気を点けに入ったら──先輩が寝ている。

それ自体は別に珍しいことでもなくて(をい)プロジェクトが佳境に入ると2、3時間仮眠してまた仕事を再開なんてことはざらだったので(をいをい)驚きもしないのですが別のことにびっくりしました。

連続帳票を何重にも体に巻き付けて寝ている。

室内灯が点いて目を覚ました先輩曰く。

「こうするとめっちゃ温かいねん」

古新聞にくるまったホームレスっすかと揶揄っちゃいましたっけ。

生意気な新入社員だったな。

入室された方はご存じだと思うのですがコンピュータのマシン室は真夏でもかなり冷房がしっかり利いていて寒いのです。

これはコンピュータ自体が発熱して熱暴走を起こすのを抑えるための処置なのですがそこで長時間過ごす人間にとってはかなり厳しい。

マシン室で作業を行う日は真夏でもコートを持ってくる先輩がいたほどです。

ましてやそこで眠るとなればなおのこと。

うっかり風邪をひかないために連続帳票にくるまって暖を取るというのは先輩方が編み出した知恵だったのでしょう。

外気の影響を遮断するのに何かを身にまとうというのは経験から生まれた知恵だと思うのですがその知恵を料理の世界に持ち込んだ人がいたようです。

高温の油で食材を揚げる際に直接その熱に触れさせないようにしてじんわり柔らかく熱を加えて種全体に均等に火を通す。

そんな目的で考案されたのが揚げ物の「衣」です。

揚げ物の衣には外からの熱を緩和する以外に中の水分を逃がさずしっとりと仕上げるという効果もあります。

この技法を考えた人は天才だな。

過日、揚げ物ではないのですが胡麻を使った衣をまとわらせてさごしの焼き物を作りました。

遠い夏の日、連続帳票の衣をまとって仮眠を取っていたあの先輩は今頃どうしているかしらん、なんて考えながら。

【材料】(1人分) 

調理時間:12分-

  • さごし(さわらでも可):1切れ
  • 塩、ブラックペッパー:少々

[衣パート]

  • マヨネーズ:6g(大匙1/2)
  • 水:3g
  • 薄力粉:4.5g(大匙1/2)
  • 白いりごま:2g(小匙1)
  • 黒いりごま:2g(小匙1)
  • サラダ油:6g(大匙1/2)

[調味料パート]

  • 濃口醤油:6g(小匙1)
  • 料理酒:5g(小匙1)
  • 味醂:3g(小匙1/2)
  • 砂糖:3g(小匙1)
  • おろし生姜:ひとかけ分

【作り方】

  1. さごしに塩、ブラックペッパーをまぶします。
  2. [衣パート]のごま以外を合わせてよく混ぜます。更にごまを加えてよく混ぜます。これをさごしにまぶし押し付けるようにしながら均等に広げます。
  3. フライパンにサラダ油を入れて中火にかけます。これにさごしを身を下にして入れ蓋をして2分半焼きます。ひっくり返して更に2分半焼きます。
  4. 3.をやっている間に[調味料パート]を合わせてよく混ぜておきます。3.の焼きが終わったら蓋を取り[調味料パート]を鍋肌から注ぎます。調味料を絡めながら水気がほぼなくなるまで焼けばできあがり。

【一口メモ】

  • ごまの良い香りがふわっと口いっぱいに広がります。衣のざくざくした食感も楽しい。ごま好きにはたまらない一品ですね。
  • お好みで[衣パート]に一味唐辛子を混ぜてピリ辛にしても楽しいですよ。
  • 付け合わせはサラダにできそうな野菜。レタスやサラダ菜、ミニトマトなどがおススメです。

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