浦沢直樹のコミック「マスターキートン」に昔、ハマりました。
表の顔は大学の講師、裏の顔は英国特殊空挺部隊SASの元サバイバル教官で保険会社のオプ、キートンが主人公。
90年代の世界情勢に翻弄される人々の日常を描きその苦悩と奮闘に生きる勇気を与えてもらった作品でした。
その中の一エピソードにロンドンの中華料理屋を舞台にした話がありました。
店主の娘と恋仲になっていたことがバレて店を叩き出された見習いコックがなんとかして店に復帰したいとキートンに相談を持ちかけます。
キートンは店の看板メニューである豚肉の唐揚げを完全に再現させて店主に彼の技量を見直させるという作戦を立てます。
で、その隠し味を調べるべく街の古老に聞き込みを開始するのですが……といった話でした。
やがて明かされる店の歴史と孫文の関係──なんて壮大な話になっていくところは如何にもマスターキートンらしいなと思ったものです。
ようやく突き止めた隠し味はウィスキー。
中国生まれの唐揚げにイギリスで生まれた酒を加えて風味を高めるというのはなんとも粋な演出だったなぁ。
これ、中国人の店主とイギリス生まれの見習いコックの暗喩でもあるんですよね。
本編はともかく料理がすごく美味しそうだったのでウィスキーを使った唐揚げを何度か試作してみたのですがどうも上手くいかない。驚嘆するような旨さにならない。
単に普通の唐揚げになってしまう。
で、とうに投げ出して長らく試作をやめていたのですが最近気付いたのです。
唐揚げと聞いて僕は日本の唐揚げをイメージしてしまった。
つまり醤油と酒で下味を付けていたのです。
けど醤油はそれ自体風味を持つ調味料。
ウィスキーの風味を活かすのなら香りを持たない塩を使った塩唐揚げにすべきではないのかと。
ということでまずは普通の塩唐揚げを作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 豚バラ(ブロック):200g
- 片栗粉:適宜
[下味パート]
- 塩:2g(小匙1/3)
- 酒:15g(大匙1)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 豚バラは7mm厚の小口切りにし[下味パート]と合わせて10分漬け込みます。
- 揚げ油を180度に温めます。1.の水気を切り片栗粉をまぶします。
- 揚げ油が温まったら1.の半量を投入して3分揚げます。揚がったら引き上げて残りを投入し3分揚げればできあがり。 ※一度に大量の揚げダネを入れると油の温度が下がってしまうので一度に揚げる量は少なめにしましょう。
【一口メモ】
- ちょっとスナック菓子っぽい味ですがボリュームは満点。しっかりしたおかずになります。
- 醤油の唐揚げと違って風味は付けませんので下味をつける時間はごく短時間でOK。10分程度でしっかり味は馴染みます。
- 同じ豚肉ならロースかヒレでやるのもありですよ。そっちのほうがカロリー的には軽いかな。