馴染みの居酒屋のご主人から店の品書きを作る際のポリシーを聞いたことがあります。
「家でも作れるものは店では出さない。この店でなければ作れないものを食べてもらう」
至極まっとうで立派な考えだと思います。
けどね、時代は移り変わっていきます。
そもそも「家でも作れるもの」が極端に少ないおうちが増えている気がするのです。
僕の同僚で単身赴任でシングルライフを楽しんでいる男性がおりました。
彼はそもそも「自分に料理は無理!」といって3食とも何か買ってきたものを食べるか外食でした。
どれくらい無理かというと「野菜を切るのも無理」、「コンロに火を点けるのも無理」というレベル。
ま、無理というよりはやりたくない、めんどくさいということなのでしょう。
孤食なんて言葉が生まれて久しいですが一人暮らしの家できちんと料理をしない、したくない人は確実に増えています。
そういった方々が飲食店で食べたいものはもしかしたら──「家でも作れる家庭的な料理」なのかもしれないと想像するのです。
事実、くだんの居酒屋とは真逆に「おふくろの味」をウリにした飲食店は昔からあります。
ありきたりだけど家庭的な料理を食べたい人がいて、そんな飾り気のない料理を出してくれる店がある。
需要と供給が一致すれば商売は成り立つのです。
たとえば、この料理、大して難しくもなく手間もかかりません。
普通に家でも作れちゃいます。
けど、料理をしない(できない)人にとってはしみじみ温かい、それこそお金を払ってでも食べたい一皿なのかもしれませんね。
【材料】(2人分)
-調理時間:12分-
- 豚バラスライス:100~120g
- 山芋:3cm
- 大根:2cm
[煮汁パート]
- かつお出汁:100g(カップ1/2)
- 濃口醤油:27g(大匙1.5)
- 味醂:27g(大匙1.5)
- 酢:5g(小匙1)
【作り方】
- 大根はすりおろします。豚肉は食べやすい大きさに切ります。山芋は皮を剥いて7mm厚の半月切りにします。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ豚肉を加えて色が変わるまで焼きます。これに山芋を加えて1分炒めます。
- 2.に大根おろしと[煮汁パート]を加えてひと煮立ちさせ水気が半分くらいになるまで煮ればできあがり。
【一口メモ】
- さっぱりした後口のお惣菜です。大根おろしは火を通すと辛味が抑えられるので苦手な方でも食べやすいと思います。
- 特にコツなどもなくいわゆる失敗知らずの料理と言えるんじゃないかな。
- お好みで七味唐辛子を振っても美味しいですよ。