ずいぶんと昔、たぶん明治とか大正といった時代設定だったと思います。
嫁いだ娘さんが里帰りするお話を短編小説で読んだことがあります。

婚家に戻る時にご実家のお母さんが手土産にと、ちらし寿司を持たせてくれるのです。
華やかな具材の載った美味しそうなお寿司にお姑さんは喜びました。
「それからこれはお前の弁当に」
とお母さんはもうひとつ折り詰めを持たせてくれるのですがこちらは蓋を開けてみるとただの酢飯が詰めてあるだけ。

「嫁の分をわきまえているね」
とお姑さんは評価してくれるのですがお嫁さんはちょっと寂しい。
「あっちの華やかなお寿司を食べたかったな」
と思いながら寝室に下がります。

それでも長旅の疲れで空腹だったので気を取り直して箸を取り、その酢飯だけの折り詰めを食べ始めるのですが……
酢飯の下にはみっしりと美味しそうな具材が詰まっていたのでした。
お母さんの思いやりにほっこりとした温かい気持ちになれる掌編でした。

料理でサプライズを演出する手法のひとつとして地味な料理と見せかけて食べ進むとその下から(あるいは中に)意外な料理が出てくるというのがあります。
例えば鰻丼の変形版に「まむし」というのがありますが見た目は白ごはんにタレだけ。
けど食べすすめると間にうなぎの蒲焼きが出てくるという趣向。

「間」にはさんで「蒸し」てあるので「まむし」。
これはうなぎのビジュアルが蛇に似ていることとも掛けているネーミングなんでしょうね。
生姜焼き用のお肉が少し残っておりまして野菜室を見るとじゃがいもがたっぷり。

この2つを使って何が面白い料理は作れないかなと考えていて作ったのがこれ。
狙ったわけでもないのですが出来上がってみるとサプライズを演出する料理に仕上がっていました。
【材料】(2人分)
-調理時間:40分-
- 生姜用豚肉:6枚
- じゃがいも:2個
- ごぼう:5cm
- スライスチーズ:1枚またはシュレッドチーズ適宜
- 牛乳:適宜
- サラダ油:適宜
[生姜焼き調味料パート]
- 濃口醤油:15g
- 酒:12g
- 砂糖:3g(小匙1)
[マッシュポテト調味料パート]
- マヨネーズ:茹で上がったじゃがいもの重量の15%分
- 粒マスタード:小匙1
- 粗挽きブラックペッパー:少々
【作り方】
- [生姜焼き調味料パート]の砂糖以外と豚肉を合わせて10分間漬け込みます。
- 1.と並行してじゃがいもは皮を剥いて小さめのさいの目に切り小鍋に入れます。これにひたひたの牛乳を注いで中火で6分茹で(吹きこぼれに注意)火を止めて6分置き余熱で火を通します。 ※牛乳の旨味をじゃがいもに吸わせるのでさいの目は小さめに切るのがコツです。
- 1.と並行してごぼうはささがきか薄切りにして水(分量外)に5分晒してザルに揚げみじん切りにします。
- ボウルに2.を茹で残った牛乳と一緒に入れて[マッシュポテト調味料パート]を合わせて熱いうちにマッシュポテトにします。 ※潰しきらずに少しじゃがいもの食感を残すくらいがオススメです。
- フライパンにサラダ油少々を入れて中火にかけ1.の豚肉を加えて両面焼きます。焼き色が付いたら漬け込んでいたタレと砂糖を加えて絡めながら焼き生姜焼きを仕上げます。これを一口大に切って耐熱皿の底に敷きます。
- 4.のフライパンを洗わずにサラダ油を追い足し中火にかけます。これにごぼうを入れてしっかり目に炒めます。これを4.のボウルに入れて混ぜ合わせます。
- オーブンを220度に予熱します。待っている間に5.の耐熱皿にマッシュポテトを詰めて上にチーズをトッピングします。これをオーブンで15分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- いかにも洋食風なビジュアルでただのポテトグラタンと見せかけて、まさかの生姜焼きが降臨。このサプライズはなかなかインパクトがありますよ。家族に「お、今夜は洋食かい」と聞かれたら「ううん、和食だよ」と答えて煙に巻きましょう^^
- 生姜焼きのタレの味を吸ったごぼうがコリコリして美味しいです。いいアクセントになっていますね。
- じゃがいもは牛乳で茹でるとコクがぐんと増します。1ランク上のごちそうになりますのでぜひお試しあれ。牛乳の量は必要最低限にし、空焚きにならないようある程度茹でたら火を止めて余熱で芯まで火を通すのがコツです。
- 多くのグラタン料理そうであるようにお好みでタバスコを振ると辛さと酸味が味を引き締めてくれますよ。

