「料理の基本がなってない」江戸の小料理屋を舞台にした時代小説『みをつくし料理帖』の中でヒロイン澪が小松原という浪人に指摘された手厳しいセリフです。
実は小松原様は御膳奉行と呼ばれる将軍に出される食事一切を取り仕切る偉い役人なのですが、遠山の金さんみたいに身分を隠して浪人姿で町をうろつく変わった人なのです^^;
料理の基本とは何か?
考え抜いた挙句、「出汁」であることに澪は気付きます。
和食の極意は調理法や調味の仕方ではなく、どんな食材でどうやって出汁をひくかということ。
出汁が決まらなければ味が決まらない。そのことに澪は気付くのです。
確かに魚を煮る場合は風味がでしゃばらないようにさっとかつお節をくぐらせたような出汁が合いますし、野菜の煮物などにはうんと濃く引いた出汁が料理を引き立たせてくれます。
それ以前の話として、煮物を作るのにきちんと出汁を引いて煮るのとただの水で煮るのでは雲泥の差が出ます。
日本食に興味がある外国の方には特に知ってほしい日本の食文化の一つだと思うんですよね。
てなことを考えながら、小松菜を煮付けました。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 小松菜:1束
- うす揚げ:半丁
- サラダ油:少々
[調味料パート]
- だし汁(濃いめに引いたカツオ出汁):100g(1/2カップ)
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- 酒:7g(大匙1/2)
- 砂糖:2g
【作り方】
- うす揚げは熱湯(分量外)をかけて油抜きをします。これを1cm幅の短冊に切ります。小松菜はざく切りにします。
- 弱火で湯を煮立たせないようにしながらかつお節を投入し、蓋をせずにそのまま3分くらい煮出して出汁を引きます。
- フライパンにサラダ油とうす揚げ、小松菜を加えて中火にかけ小松菜がしんなりするまで2分ほど炒めます。
- 3.に[調味料パート]を加えてひと煮立ちさせ2分ほど煮ます(煮過ぎないのがコツ)。火を止めて5分ほど味をなじませればできあがり。
【一口メモ】
- ぜんぜん、おご馳走ではないのですが、まったりした気分が味わえます。京のおばんざいって風情の料理で本来日本人の舌にはこういったものが合ってるんじゃないかしらん。
- 僕は関西人の割に薄口醤油を使わないのですが、京風にしたい場合、この料理は薄口醤油が似合っている気がします。但し、塩分は濃口より高いのでご注意を。
- お弁当のお菜に詰めても楽しいですよ。けど、子供さんは嫌がりそう^^;
- こういった料理は雰囲気の演出に凝るだけで味まで変わりそうです。夏なら窓を開けて風を通したり、ちょこっと和風の小物をテーブルに飾るだけでも料亭気分が味わえるかも。