フランス料理の世界で【レギューム・ウブリエ】と呼ばれる食材があります(【レギューム・アンシェンヌ】とも呼ばれます)。
レギュームは「野菜」、ウブリエは「忘れた」という意味ですので「忘れられた野菜たち」と言ったほどの意味でしょうか。
第二次世界大戦くらいまでは普通に食べられていたけれどその後、敬遠されるようになり今ではほとんど食べられなくなった野菜たちを指す言葉です。
年配の方々からすれば「戦争中のまずしい食事を思い出してしまうのでヤだ」という思いが強いらしく嫌われちゃったみたい。
【レギューム・ウブリエ】はキクイモ、シロニンジン、スウェーデンカブなど根菜が多いのですが中にはおせち料理でおなじみのチョロギなんかも含まれます。
昔はよく食べられていたらしい。
元々、フレンチの世界では根菜はあまり人気がないのかゴボウなんかは「木の根っこ」にしか見えないそうで人が食べるものじゃないと思われているみたい。
極東軍事裁判で「捕虜に木の根を食べさせた」という理由で有罪にされた人がいたなんて話もあるくらいですから欧米全般の通念なんでしょうね。
そんな「いらない子」にされちゃった【レギューム・ウブリエ】ですが、ここ数年状況が変わってきているらしい。
元々、これらの根菜類は繁殖力が強くて農薬や肥料がなくても育つものが多いのですがオーガニック食材や健康に意識の高い人たちに支持され始めているとか。
何だか変な手のひら返しだなぁ。
加えて空前の日本食ブーム。
ごぼうだってその美味しさが広く認知されて当たり前に洋食の世界に溶け込んでいくんじゃないかな──なんて、ランチにこんなパスタを食べながら考えておりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- スパゲティ:100~120g
- 牛こま:50g
- ごぼう:1/4本
- トマト缶:1/4個(約100g)
- コンソメスープの素(顆粒):3g
- にんにく:ひとかけ
- 鷹の爪:半本
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- 粗挽きブラックペッパー:少々
- 粉チーズ:適宜
- タバスコ:適宜
[パスタのゆで汁パート]
- 水:600g(カップ3)
- 塩:7g
【作り方】
- [パスタのゆで汁パート]を鍋に入れて強火で沸騰させパスタを加えてパッケージに記載された時間-1分茹でます。
- 1.をやっている間に牛肉は食べやすい大きさに切ります。ごぼうは洗って3cmずつくらいに切り、縦半分に切って更に薄切りにし水に晒します。にんにくはスライスします。鷹の爪は小口切りにします。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火にかけます。香りが立ってきたら牛肉と鷹の爪を加えて中火にし、肉の色が変わるまで炒めます。更にトマト、ゴボウ、コンソメスープの素を加えて弱火で煮ます。
- パスタの茹で上がり1分30秒前になったらゆで汁をお玉一杯分3.に加えて中火にかけ、水分を飛ばします。パスタが茹で上がったらざるに揚げて湯を切り、3.のフライパンに加えます。トングでよく和えたらできあがり。お皿に盛って粗挽きブラックペッパー、粉チーズ、タバスコをお好みでかけて戴きます。
【一口メモ】
- 濃厚なトマト風味のミートパスタです。ひき肉ではなく牛肉のこま切れを使っているのでお肉を食べている実感マシマシ。めっちゃ満足感の高い一皿ですよ。
- 陰の立役者はごぼう。しゃきしゃきした食感が料理の良いアクセントになります。案外、洋食にもすんなり馴染む根菜なんだよなぁ。
- お好みで玉ねぎ、ピーマン、茸類を加えても美味しいです。加えるタイミングはごぼう、トマトと同じタイミングで。
- 僕は辛党なのでアラビアータ風に唐辛子を利かせた味付けにしていますが苦手な方は量を加減するか抜いてください。