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海老のアラビアータ

キセル、箸、筆──落語ではこれらの小道具を扇子で見立てて表現します。

扇子には他にも木戸を叩く際の音響道具として使われたりもします。

なんで本物のキセルや筆じゃなくて扇子を使うの?

なんて疑問は本物を使った場面を想像すれば容易に解けること。

落語は一人数役の芸能。

高座の上には噺家が一人きりいるだけでスタッフもおりません。

本物のキセルを使って芝居をしたら噺が進んでそのキセルが要らなくなった時に片付けてくれる人が誰もいないのです。

要もないのに噺家の側にキセルが転がっているというのはなんともシュールな絵面になっちゃいます。

しゃもじ、徳利、杯、刀、槍、長刀、天秤や籠の担ぎ棒、門番の棒、げんのう、そろばん──扇子で見立てられるものはまだまだあります。

最近の創作落語では携帯電話やパソコンのマウスなんかにもなったりするらしいw

落語に限らず演劇など舞台芸能の世界では敢えてリアルな小道具を用意せず見立てを使って観客の想像力でその場面の情景を構築させるという演出がしばしば行われます。

それは映画のように記録したものを編集してから観客に観せる芸能と違いリアルタイムで観客に観せなければならない芸能ゆえの必然なのでしょう。

料理の世界でもよく見立てが使われます。

けれどそこには落語や演劇のような必然性はほぼありません。

例えば「しぐれ煮」は口の中で次々と味が変化していく様を通り雨の時雨に見立てた料理ですがそれはあくまでも言葉遊びであって時雨自体にはなんの必然性もありません。

大根おろしを雪解けの風景に見立てた「みぞれ煮」もそうですね。

何かの必要に迫られてどうしても大根を雪解けに見立てなければなかったわけではありません。

料理の見立てはあくまでも「遊び」なのです。

けど「必然」という根っこがない分、料理の見立ては自由奔放で勝手気ままです。

中には「そういわれたら、そういえなくもないか」なんて強引に納得させられる見立てもあったりします。

例えば……スパゲティ・アラビアータカタカナ表記の字面からアラビアに関係したパスタ料理かな?

なんて思われたりするらしいのですがアラビアとは全く関係ありません。

語源はイタリア語で「怒っている」という形容詞の「arrabiato」。

これに「○○風」という意味に変化させる「all'」をつけて「all'arrabiata」としたのが料理名です。

これはなんの見立てかと言うと「唐辛子を使った辛いソースなので食べた人が顔を真っ赤にしてしまう。

その様子が怒っているみたいだから『怒りんぼ風』と名付けました」ということなのです。

僕的には「あ、はい」というしかないなぁと思っちゃうのですが日本人の場合、顔を真っ赤にすると言えば「恥ずかしがる」というイメージの方が強いので少し感情の形容が違うからかしらん。

とまれ過日、冷蔵庫に残っていたむき海老を使ってスパゲティ・アラビアータを作りました。

トマトケチャップを仕込んだので辛い中にも甘みがある味わいです。

「今泣いた烏がもう笑った」なんて揶揄い言葉同様に怒っていたはずなのに途中で噴出してしまう怒り笑いのような味。

こっちの方が日本人的にはしっくりくる見立てな気がするな。

【材料】(1人分) 

調理時間:10分-

  • スパゲティ:100~120g
  • トマト缶(ダイスカット):100g(1/4缶)
  • むき海老:30g
  • ドライパセリ:適宜

[海老の下味パート]

  • 塩:1g(小匙1/6)

[ソースベースパート]

  • オリーブオイル:12g(大匙1)
  • おろしにんにく:ひとかけ分
  • 鷹の爪(小口切り):半本

[仕上げパート]

  • トマトケチャップ:15g(大匙1)
  • 砂糖:3g(小匙1)
  • 塩、ブラックペッパー:少々

[ゆで汁パート]

  • 水:600g(カップ3)
  • 塩:6g(小匙1)

【作り方】

  1. 海老は食べやすい大きさに切り[海老の下味パート]をまぶしておきます。[ゆで汁パート]を鍋に合わせて強火にかけてひと煮立ちさせます。スパゲティを加えて規定時間-1分茹でます。
  2. 1.と並行してフライパンに[ソースベースパート]を入れて弱火にかけます。香りが立ってきたらトマト、海老を加えて中火にし海老の色が変わるまで炒めて火を止めます。
  3. 2.に[仕上げパート]を加えて中火で1分煮込み火を止めておきます。茹で上がり1分前になったら再度中火にかけてスパゲティのゆで汁をお玉一杯分加えてそのままスパゲティが茹で上がるまで煮詰めます。
  4. スパゲティが茹で上がったらざるに揚げて湯切りし、3.のフライパンに加えます。トングでスパゲティにソースをよく和えればできあがり。お皿に盛って戴きます。

【一口メモ】

  • トマトケチャップの甘味と酸味が際立つ甘めのトマトソース……と思っていたら後からじわっと唐辛子の辛さが襲ってきます。甘さ、酸っぱさ、辛さのコントラストを存分に楽しんでください。
  • このトマトソースはミート系よりは海鮮系の方が合いそうです。手持ちにむき海老があったので使いましたがボイルしたアサリやホタテ、イカ、タコ、白身魚など手持ちと相談しながら試してみてください。変わったところでは竹輪やカニカマを使っても美味しいと思いますよ。
  • やっぱアラビアータはもっと辛くなくっちゃという方はタバスコを適宜加えて辛さを調整してください。

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