その器を使う意味は何か?
なんか哲学的な響きを感じさせる言葉ですが単純に素朴な疑問。
世の中にはなんでその器に盛ることがお約束になってるのかを知りたくなるような料理があったりするのです。
たとえばざる蕎麦はなぜ蕎麦がざるに載っているのか?
ざる蕎麦が考案されたのは江戸時代中期で伊勢屋というお蕎麦屋さんが発祥らしい。
茹でたそばを皿盛りにすると食べ進めるうちに皿の底に蕎麦に付いた水が溜まっていく。
しまいには残った蕎麦が水浸しになる。
そんなびちゃびちゃ状態の蕎麦をつゆに浸けたらあっという間につゆが薄まって美味しく食べられない──そんな客の不満を解消すべく蕎麦の下にざるを入れたのだそうです。
こうすることで蕎麦に付いた水はざるで濾されて下に落ちるので蕎麦が浸からないようになる工夫だったそうな。
では、うな重はなんで重箱に入っているのか?
鰻の蒲焼きとご飯をコラボさせた料理は元々は丼盛りのうな丼スタイルで江戸後期に誕生しました。
重箱に詰めるスタイルが登場したのは明治時代になってから。
この二つは今では器が違うだけということになっていますが考案された頃はちゃんと意味がありました。
うな丼の出前は届くまでに冷めちゃうのが難点だったのですがうな丼を重箱に詰めて上下に熱い湯を入れた重箱を重ねて料理が冷めないようにして運んだのです。
今の保温ジャースタイルのお弁当箱に通じるアイデアですね。
ということでうな重は出前用に考案されたものだったのです。
ちなみに重箱の上面は丼より広いので同じ量の鰻だと白いご飯にちんまり載っているように見えて貧相な見栄えになってしまう。
豪華に見せるために載せる鰻の量を増やしたのでうな重はうな丼よりお値段が高くなっております。
あるいは、ラーメンはなぜ底が尖ったラーメン鉢に盛られているのか?
底が緩やかな曲線のうどん鉢と違ってラーメン鉢は尖っています。
これはつゆの特性によるものらしい。
うどんや蕎麦のように完成したつゆを注ぐタイプの麺料理と違ってラーメンは底にタレを入れてそれに熱々のスープを注いでこの2つを混ぜて完成させるスタイル。
タレとスープが均一に混ざるかどうかで味が変わってきます。
底が尖っていることでスープの対流を促し均一に混ざるようにするためあの形なのだとか。
最後にひとつ問題です。
なぜこの料理はラーメンなのに平たい深皿に盛られているのか?
その答えは──丼を洗ったばかりで洗い桶で乾かしている最中で他に適当な器がなかったから。
ただ、それだけです(をい)。
なんか、もうちょっともっともらしい合理的っぽい説明はできないかなぁ。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- 棒ラーメン:100g(または中華麺1玉)
- 豚バラスライス:50g
- 白ネギ:3cm
- ラード:チューブ3cm分(なければサラダ油12g(大匙1))
- カレー粉:大匙1
- おろしにんにく:ひとかけ分
- おろし生姜:ひとかけ分
- 水溶き片栗粉:6g(小匙2)分
[スープパート]
- 水:270g(270ml)
- 蕎麦の本返しまたはめんつゆ:大匙1.5
- コンソメスープの素(顆粒):1g
- 鶏がらスープの素:1g
- 鰹出汁の素:小匙1/2
- 昆布出汁の素:小匙1/2
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 棒ラーメンを茹でる湯(分量外)を沸かしてラーメンを加え規定時間茹でます。豚バラスライスは1cm幅の小口切りにします。白ネギは輪切りにします。
- 1.と並行してフライパンにラード、おろしにんにく、おろし生姜を加えて弱火にかけます。香りが立ってきたら豚バラ、白ネギを加えて肉の色が変わるまで炒めます。更にカレー粉を加えて弱火で1分炒めます。
- 2.に[スープパート]を加えて強火にし、ひと煮立ちさせます。これに水溶き片栗粉を2、3回に分けて加えとろみを付けます。
- 茹で上がったラーメンをざるに揚げて湯切りします。これを深皿に盛って3.をかければできあがり。
【一口メモ】
- カレー粉ににんにく、生姜と体が温まる素材をプラスしているのでめっちゃぽかぽかします。というか、大汗をかきました。けど、スパイシーで美味しいです。
- 料理を深皿に盛ったのは我が家の洗い物の都合で他意はありません。丼盛りにしても美味しく食べられますよ。
- 具材はシンプルにしていますが野菜や茸を加えて具沢山にすると栄養満点の一皿に仕立てられます。