かつて日活から配給された「渡り鳥シリーズ」というアクション映画が大流行したことがありまして、これが実に不思議なプロットの映画でした。
主人公はどこからともなく流れてきた風来坊。
街にたどり着くとなぜかすぐにトラブルに巻き込まれて喧嘩が始まる。

クライマックスでは拳銃をぶっぱなしながら街を支配する巨悪をバッタバッタとぶっ倒す。
ラストシーンでは彼を引き留める親子(お母さんが女優ばりのすこぶる美人)を振り切って
「俺は渡り鳥だからひとつところにはいられないのさ」
てなことを言って去って行く……

いやそんなことしたら普通に逮捕されますから。
ツッコミどころ満載な国籍不詳のアクション映画でした。
それでも人気を博したのは元来、人は(特に男は)放浪癖のようなものがあって、それをくすぐる魅力があったからじゃないかなと僕は思っています。

日々の仕事にあくせくしたり、
人とのしがらみに疲れた観客たちにとって、
自分のことを誰も知らない街で人生をやり直すことや、
様々なしがらみを振り切って日常生活から離脱していくことはすっごく魅力的に感じるんだと思います。

僕は大学の頃から旅行が好きで日本全国あちこち行きましたが旅の一番の魅力はこの「非日常」感じゃないかしらん。
その街で日常を送る人たちに紛れて自分だけが非日常を過ごしている異物感が心地よかったからだと感じています。
自分が普段暮らす街でなら毎日前を通っていても暖簾をくぐることがないお店でも旅先のそれならつい、ふらっと入ってしまうのはそんな非日常感に背中を押されるからでしょう。

もし僕が台湾を旅したら小さな飲食店や屋台を覗いてこんな麺料理をすすっているというのは必然に近い確率でありそうなことだと夢想してしまうのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- うどん(できれば細うどん):1束
- 牛バラ肉(スライス):100g
- トマト缶(ダイスカット):100g
- 白ネギ:5cm
- にんにく:ひとかけ
- 生姜:ひとかけ
- ごま油:4g(小匙1)
[つゆパート]
- 出汁(昆布出汁):300g(カップ1.5)
- 濃口醤油:27g(大匙1.5)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- 砂糖:4.5g(大匙1/2)
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
- 五香粉:少々
- コリアンダー(パウダー):少々
【作り方】
- 牛肉は食べやすい大きさに切ります。白ネギは小口切りにします。にんにくはスライスします。生姜は千切りにします。
- 小鍋にごま油と白ネギ、にんにく、生姜を入れて弱火にかけます。香りが立ってきたら牛肉を加えて色が変わるまで炒めます。これに[つゆパート]とトマトを加えてひと煮立ちさせます。アクを取って10分間煮込みます。
- 2.の煮込みを始めたらうどんを別鍋でパッケージの記載通りに茹でます。
- うどんが茹で上がったらざるに揚げて流水で〆ます。これを丼に入れて2.を注げばできあがり。
【一口メモ】
- ピリッと辛いスープが食欲を刺激する一杯です。普通のうどんに飽きたらぜひどうぞ。アジアンテイストを満喫できるランチが楽しめますよ。
- 本式の牛肉麺は牛バラ肉のブロックを時間をかけて煮込んだりする手間のかかる料理です。ランチタイムからやるにはちょっと重いのでインスタント的に作れるようレシピをアレンジしています。
- 本場の麺は細めのうどんのような形状のものを使うので手持ちがあれば細うどんを使ってください。食感がかなりリアルになります。

