僕には二人の妹がいます。
その姉の方が幼稚園児だった頃の話。
夕食時、父は晩酌にビールを飲んでいました。
昭和40年代頃の話、ビールと言えばキリン一強の時代で父も当然キリン派。
父の前のコップからは匂いからして苦そうなラガービールが泡を立てておりました(今で言うとキリンのクラシックラガーに近い味だったんだと思います)。
ふと妹の方を見るとなぜか父から目を逸らして明後日の方を見ている。
そして彼女が持つ箸は彼女の視線とは裏腹に父の方にそうっと伸ばされていって──その泡に突っ込まれた。
そのまま戻した箸の先を舐めて彼女はニマっと笑ったのでした。
どうやら自分は父の方を見ていないから気づかれていないと思っていたらしいというのは幼稚園児らしい浅薄さ。
けれど実は家族全員が注視していて直後に笑い転げる一幕がありましたとさ。
こいつは将来絶対酒飲みになると家族全員がその時確信したのですがその予想は覆ることなく妹は僕ら三兄妹の中で一番の酒豪になりました。
ことほど左様に酒飲みの性というのは三つ子の魂に既に刻まれているものらしい。
それを確信したのは僕自身が娘を持った時でした。
うちの次女は幼稚園児の頃から嗜好がちょっと変わっていたのです。
子供が好きそうな甘い菓子より奈良漬けのような辛いものが大好きという。
彼女は現在大学生で絶賛就活中ですがやはりというか予想通りというか大酒飲みになってしまいました。
三つ子の魂というものは……以下、略。
うちの次女がそうだったように酒飲みというのは辛い物を好むらしい。
たとえばこの料理は何の変哲もないわかめご飯に見えますが酒飲みがハマる罠が仕掛けてあります。
それは──一味唐辛子。
食べ進めれば舌の上に辛味が載って昼間っからビールがほしくなっちゃうという仕掛けです。
お酒が好きな人も、そうでない人もぜひお試しあれ。
余談ですがうちの長女は子供の頃から大の甘い物好き。
この娘は母親に似て下戸になるんだろうなと思っていました。
ところが長じてみればワインをボトル2本くらい平気で空ける大酒飲みになっちゃった。
ま、中には甘党の酒飲みもいるようです。
つくづく因果な家系だなぁ(笑)
【材料】(1人分)
-調理時間:2分-
- ご飯:1膳分
- 乾燥わかめ:ひとつまみ
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- マヨネーズ:6g(大匙1/2)
- ごま油:4g(小匙1)
- 一味唐辛子:2ふり
【作り方】
- 乾燥わかめは水(分量外)に浸けて戻します。戻ったらざるに揚げて水気を切ります。
- お茶碗にご飯をよそい1.のわかめと残りの材料を加えてよく混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- 食べる前からごま油の香りがヤバい。そして食べ進めると口いっぱいに唐辛子の辛味が広がって……ビールが欲しくなる──悪魔のような料理なのです。
- マヨネーズの代わりに卵を加えると濃厚な卵かけご飯としても楽しめます。できれば卵黄だけにすると濃厚さが増しますよ。
- 好みが分かれるところですがガッツリ系がお好きな方は更にバター5gとおろしにんにくひとかけ分をプラスしてみてください。力めしって感じに仕上がります。逆に重めが苦手な方は仕上げにレモン果汁小匙1(5g)を振りかけてざっくり混ぜながら食べてください。