今は休眠していますが僕は学生時代に男声合唱団に入団したのを皮切りに20年以上、アマチュア・コーラスの業界におりました。
どんな業界でもそうですが中には「なぜそれを本職にしない?」と訊きたくなるくらい巧い人がいるものです。
例えば以前参加したオペラのプリマドンナ(主演女優)は普段は整骨院の受付をやっているそうです。
いや、あんだけ歌える(で、結構な美人)受付のいる整骨院ってどうよとか思っちゃいますよ。
あるいは学生時代の僕の先輩はプロのボイストレーナーから「本職のボイストレーナーになれる」と太鼓判を押されていましたが(で、本人もバリバリに歌える)大学卒業後は普通のサラリーマンになりました。
そういった才あるアマチュアはある意味「本職泣かせ」と呼ばれることがあります。
共演した時に本職の方々はプロの意地にかけて見劣りするわけにいかないのです。
けど、彼らはアマチュアのくせに嫌になるくらい巧い。
もうお前が主役やれよ──なんて口が裂けても言えないけれど心の中では思っちゃっているかも。
「何が怖いって音楽業界の怖さはプロとアマチュアの境界が曖昧なところなんだ」とあるオペラの打ち上げで仲良くなったプロのオペラ歌手からそんな話を聞きましたっけ。
料理の世界にも「本職泣かせ」はいます。
というか、あります。
例えばベラミーズのパイシートもそのひとつ。
冷凍パイシートと侮るなかれプロがイチから作ったパイとまるでそん色ないのです。
「料理教室でパイの焼き方を教えるのがバカバカしくなっちゃう。もう、これを使ってくださいって言えば良いじゃん」
なんてどこかの料理教室の先生が愚痴っていたと聞きました。
ま、その分、それなりに良いお値段がするんですけどね > ベラミーズ
わが家が常備している数少ない合わせ調味料「ナンファー トムヤムペースト」もそんな本職泣かせの調味料です。
これを使うと本格的なトムヤムクンやトムヤムガイが作れるのですが知り合いのインド料理店のオーナーが言っていました。
「店でもいちいち調味料を調合しなくても、もうこれ使っちゃえば良いじゃんって思う」って。
いや、さすがにそれは店の存在意義というかわざわざお店で食べる意味がなくなっちゃうんじゃないかしらん。
と、思うのですがwいつもはスープに使うそのペーストをサラダに転用してみたらどうだろうと思い。
こんな皿を作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:15分-
- 鶏むね肉:100g
- 大根:1cm分
- ミニトマト:3~4粒
- 炒り胡麻:大匙1
[ドレッシングパート]
- トムヤムペースト:小匙1
- レモン果汁:10g(小匙2)
- ナンプラー:6g(小匙1)
- ごま油:6g(大匙1/2)
【作り方】
- 鶏むね肉は皮を取り、観音開きにし、沸騰させた湯(分量外)に投入して弱火で5分茹でます。火を止めて更に5分放置して芯まで火を通します。流水に当てて粗熱を取ってから氷水に入れて急冷します。しっかり冷めたら3mm厚のそぎ切りにします。 ※肉の厚みによっては火が通り切っていないことがあります。肉の断面を確かめて芯が赤いようでしたら更に数分お湯に投じて火を通してください。
- 1.をやっている間に大根は2mmにスライスしていちょう切りにします。トマトはヘタを取ってスライスします。[ドレッシングパート]を合わせてよく混ぜておきます。
- ボウルに1.、2.を入れ[ドレッシングパート]を回しがけ炒り胡麻を振ればできあがり。冷蔵庫でしっかり冷やして戴きましょう。
【一口メモ】
- さすがタイの辛いスープ、トムヤムクンを作るために調合されたペーストだけのことはあります。市販のドレッシングを使ったのではありえないホットな辛さのサラダになりました。
- こういったエスニック系のサラダには青パパイヤが使われることが多いのですがわざわざ買ってくるのももったいない。実は大根のスライスはけっこう食感が似ているのでかなり近いテイストを楽しむことができるのです。ちょっとした裏技ですよ。
- 鶏肉の代わりに海老や貝などのシーフードを使っても美味しくいただけます。ちょっと贅沢ですけど魚の刺身を使っても美味しいですよ。